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安倍政権が法改定した「教員免許更新制」に教育現場から廃止意見続出

永野厚男|2020年12月25日6:04PM

コロナ禍でZoom傍聴となった中教審特別部会。(撮影/永野厚男)

第1次安倍晋三政権が法改定し、2009年度から導入した教員免許更新制は、小中高校等の教員が免許状の有効期間10年ごとに免許状更新講習(大学等が開設)を30時間以上受講し、試験に合格しないと失職する制度。この更新制に対し、文部科学省の中央教育審議会で廃止意見が続出している。

中教審は来年1月14日の初等中等教育分科会で“令和の日本型学校教育”の答申案を確定する。その『中間まとめ』は「採用権者(引用注:教育委員会)が実施する研修との重複などの負担感が課題」「より包括的な検証を進める」など、更新制の改廃に言及している。

10月15日の中教審教員養成部会で、岐阜県教委の古田秀人義務教育総括監は「更新制が学校の教育活動に役立っているか」という設問への「否定的回答が県内市町村教委で7割強、高校・特別支援学校で7割弱に上る調査結果」等を提示し、「更新制の負担は大。法定研修の充実などと合わせて、更新制の廃止を検討できる」と発言。

橋本幸三京都府教育長も「更新講習の受講が目的化されていないか」と述べ、「都道府県・市町村が実施する資質向上施策(研修等)との互換措置の検討」を提起した。

また、10月28日・29日の中教審特別部会のヒアリングでも、更新制に対し保護者や教職員組合から次のような意見表明があった。

「ぜひ早急に検討に入り、廃止してもらいたい。重ね重ね廃止を切望します」(全国高等学校PTA連合会の泉満会長=傍線は提出文書ママ)

「徹底検証し、廃止を検討する必要があります」(日本教職員組合の西原宣明書記次長)

「教員の多忙感を増大させていることは明白。直ちに廃止を」(全日本教職員組合の宮下直樹副委員長)

冒頭の更新講習には憲法に則り子どもに寄り添う講義をする大学教授がいる反面“君が代”強制を含む学習指導要領や校長命令への服従を説く教育行政からの“天下り教授”もおり、廃止するべきだ。

(永野厚男・教育ジャーナリスト、2020年12月4日号)

 

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