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グーグルを米司法省が独禁法違反で提訴 
GAFA支配の歯止めとなるか

鷲尾香一|2020年11月13日6:56PM

【課税問題も着々と進行中】

そもそも今回のグーグルに対する提訴は、従来の独禁法違反訴訟とは意味合いが大きく異なる。それは、インターネットの普及により流通のあり方が大きく変容したことにある。

GAFAに代表されるデジタル企業は、これまでの流通とは違い〝工場や店舗を持たず〟にインターネットを中心として情報通信技術を駆使し、大きな利益を上げている。

そして、オンライン通販、ネット検索、デジタル広告、音楽・映像配信、ソーシャルメディアなどの市場はGAFAの独占市場となりつつある。

その危機感がGAFAに歯止めをかけるための一手段として独禁法違反での提訴という形で現れたのだ。

たとえば、GAFAなどのデジタル企業は、さまざまな形で租税回避措置を行なっている。

もちろん、租税回避行為自体は合法的とみなされることもあり、納税義務を履行しない脱税とは違う。だが、たとえばグーグルが日本で大きな利益を上げても、租税回避により日本にはわずかな法人税しか入らないことになる。

GAFAに象徴されるデジタル企業には、これまでの法律やルールでは対処できないさまざまな事態が発生している。

デジタル企業への課税問題については、すでにOECD(経済協力開発機構)が作業を行なっており、2021年半ばには新たな「デジタル課税」の国際ルールが制定される予定だ。

今回のグーグルへの米司法省による独禁法違反の提訴は、一つの始まりにすぎないだろう。米国以外での提訴も考えられるし、グーグル以外のGAFA企業への提訴も考えられる。

グーグルへの独禁法違反の提訴をウィリアム・バー米司法長官は「インターネットの門番であるグーグルの独占を阻止することは、司法省と米国民の両方にとって記念碑的なこと」と表現したが、なすべきはデジタル企業の健全な競争環境を作り、それが国民の利益に寄与することだ。

(鷲尾香一・経済ジャーナリスト、2020年10月30日号)

 

 

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