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「社会史・労働史」が欠落している産業遺産情報センター展示

植松青児|2020年11月5日6:12PM

社会史的視点を導入し展示内容の抜本的変更を

同センターの展示内容は、5年前に日本政府が表明した「犠牲者を記憶にとどめる」ための「適切な措置」足り得ていない。そしてこの展示内容では、私たちは「過去との真摯な対話」はできない。

近代産業はそれ自体が大きな暴力性をはらみながら巨大化してきた「怪物」である。それは水俣病や原発事故などの事例からも明らかだろう。そして帝国主義(日清戦争の戦勝金)や植民地主義(労働力不足を補う強制労働動員など)、そして日中・アジア太平洋戦争などの巨大な構造的暴力とともに、日本の近代産業は巨大化してきたという視点が必要だ。

同センターの展示は、これまでの歴史学、とりわけ社会史や労働史の知見を大きく取り入れ、日本人・朝鮮人・中国人を問わず「犠牲者を記憶にとどめる」内容に再編する必要がある。

もし、現在の運営団体である産業遺産国民会議にそれができないのなら、内閣府は運営団体を取り替えるべきだろう。内閣府が現状のままで良いと考えているのなら、5年前の日本政府の表明とは整合性が取れないはずだ。

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