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朝鮮人犠牲者追悼式典が厳戒下、9月1日開催 
「事実から目をそらさないために」

本田雅和|2020年9月18日1:53PM

追悼式典で「鎮魂の舞」を演じた石香金順子さん。(撮影/本田雅和)

「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などの虚偽の流布で官憲や自警団に多数が殺された関東大震災から97年。東京・両国の横網町公園では今年も9月1日午前、日朝協会などによる実行委員会主催の朝鮮人犠牲者追悼式典が開かれた。

1974年から毎年行なわれてきた式典だが、今年はコロナ禍でネット中継中心になる一方「(追悼碑の碑文にある)六千人虐殺は嘘」などと主張する右派市民団体「日本女性の会 そよ風」が同時間帯に公園内の隣接地で「真実の慰霊祭」の名で対抗集会を開き始めて4年目を迎えたことなどから事前に大きな注目を集めていた。

両主催団体の支援者同士の衝突に神経を尖らせていた東京都や警視庁は数百人規模の警察官や警備員を派遣。両集会の間には厳重な柵を築く厳戒態勢だった。追悼式典の参加者らは小池百合子都知事が歴代知事が踏襲してきた式典への追悼文送付を取りやめたことを非難。宮川泰彦実行委員長は「事実から目をそらさせないため毎年こうして式典を開いている」と述べた。時折、右翼団体の声が聞こえてくる中、韓国伝統舞踊家の石香金順子さんが白いチマチョゴリ姿で「鎮魂の舞」を演じた。

「そよ風」側はインタビューは拒否したが事前の会場撮影と主張の垂れ幕の撮影には応じた。ただ「六千人虐殺も嘘」との主張が「犠牲者数の規模を問題にしているのか。虐殺自体を否定する趣旨か」との筆者の質問には答えなかった。

追悼式には米国から映画監督のオリバー・ストーン氏とアメリカン大学のピーター・カズニック教授が「都知事を含む右翼的歴史否定主義者たちが歴史を歪曲しようとする動きを強めていることを聞き、驚きはしないが、失望している。真実の歴史観のため闘う人々との連帯を強くし、憎悪に基づく犯罪を二度と起こさせない決意のもと被害者を追悼したい」とのメッセージを連名で送ってきた。

(本田雅和・ライター、2020年9月4日号)

 

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