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「種子法廃止違憲訴訟」弁論開始 
農家ら約1300人原告に

高橋清隆|2020年9月8日4:38PM

8月21日、東京地裁に入廷する野々山理恵子氏(右から2人目)ら原告・弁護団。(撮影/高橋清隆)

主要農作物種子法(種子法)廃止(2018年4月1日)の違憲確認などを求める「種子法廃止違憲確認等請求事件」訴訟の第1回口頭弁論が8月21日、東京地方裁判所(森英明裁判長)で開かれ、原告の野々山理恵子氏が一般消費者を代表して「廃止は危機感を与えている」などと意見陳述した。

同訴訟は山田正彦元農林水産相が幹事長を務める「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」が原告を募り、全国の農家・消費者1287人が19年5月に起こした。種子法廃止が憲法違反であることの確認のほか、一般農家・一般消費者・採種農家の各原告の地位確認と原告全員への各1万円の損害賠償などを求めている。

この日の弁論では、まず代理人の田井勝弁護士が種子法の概要と廃止の経緯・問題点を説明。同法廃止により、都道府県が原種・原原種の生産や圃場審査などを行なう法的根拠がなくなり、一般農家が購入する種子の高騰や、一般消費者が供給を受ける農作物の高騰、採種農家の経営圧迫などを招く懸念を訴えた。

弁護団共同代表の岩月浩二氏は同法廃止は憲法25条が保障する生存権を侵害すると主張。生存権の中には食料に対する権利が含まれることを、1948年決議の世界人権宣言や66年採択の国連人権規約などから明らかにした。

原告の野々山氏は、生活協同組合活動に従事してきた経験から、「安心で安全な食べ物を求めることに対し、種子法廃止は大きな危機感を与えている」「今回の種子法廃止は、子どもたちの未来にとって、命の危機をもたらしかねない」などと述べ、同法廃止の見直しを訴えた。

「訴訟の会」の池住義憲代表は報告会で「何としても憲法判断に踏み込ませたい。あと2回でなく6回、7回と証人尋問を勝ち取って、判決に生かさせていきたい」と法廷内外での闘いを呼び掛けた。

(高橋清隆・ジャーナリスト、2020年8月28日号)

 

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