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出入国管理法改悪案、今秋の臨時国会に提出か

市来伴子|2020年9月3日11:39AM

2点目の問題点は、「送還停止効」の例外規定だ。「難民申請の濫用」を防ぐという理由で、二度目以降の難民申請者に「例外」を設け、難民申請中であっても送還できるよう変更し、拒否すれば「送還忌避罪」に問われる。

しかし、10年から18年までの期間において難民認定者の約20%、人道配慮を理由とした在留許可者の約41%が、退去強制令書発布後に認定または許可を受けている。さらに、難民申請の99・5%以上が認定されない現状において、このような運用が罷り通れば、本来難民として保護されるべき人を送還するおそれが高まる。これは難民条約の「ノン・ルフールマンの原則」に明らかに反するものだ。

3点目の問題点は、弁護士や支援者などが「共犯」に問われる可能性があることだ。たとえば、送還を拒否している外国人に弁護士が助言することや支援者が食事や宿を提供するといった行為が「教唆」や「幇助」の共犯に問われかねない。弁護士や支援者の活動を萎縮させるもので、内戦、宗教、家族などさまざまな理由で帰れない外国人が社会から切り離され、さらに追い込まれることとなる。

いま必要なことは難民認定制度の改善であり、罰則の新設ではない。大きな問題を孕(はら)む入管法改悪を阻止するため、国会内外で連携し取り組んでいく。

(市来伴子・参議院議員石川大我秘書。2020年7月31日号)

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