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コロナに感染しないと出られない? 入管施設で続く人権侵害

市来伴子|2020年8月5日9:01AM

 法務省によると、2019年の日本の難民認定数は44人で、難民認定申請者1万375人に対する認定率は0・42%と、きわめて低い認定率に留まっている。本来「難民」である人を本国に強制送還してしまうことは決してあってはならず、「ノン・ルフールマン原則」として難民条約上最も重要とされているが、日本では保護されるべき人が助けられていない。

国際社会からの批判にも拘らず、安倍政権は外国人への新たな処罰として「送還忌避罪」「仮放免逃亡罪」を検討しており、さらに外国人の取り締まりを強化しようとしている。

難民懇の設立総会で石橋通宏会長が「国際スタンダードに合致した難民認定・保護制度を、この懇談会で作っていきたい」と発言したように、現行の難民審査はきわめて不透明であり抜本的な改善が必要だ。

そもそも戦前に特高警察に属していた入管庁は外国人の取り締まりを主体とし、保護政策である難民審査を行なうことに限界があるのではないか。難民条約の理念に合致する別の独立した機関が透明・効率的な難民審査を遂行すべきだ。加えて、国連による第三国定住の拡充や包括的な庇護プログラムの確立も必要だろう。

おりしも米国ではワシントン史上最大規模の抗議デモとなった白人警察官による黒人暴行死事件により、全米に留まらず世界中で「人種差別」に対するムーブメントが起きている。外国人を労働力としか見なさず搾取を許容しながら、一方で「管理」と「排除」を前面に押し出す安倍政権の矛盾は必ず日本においても大きな歪みとなる。難民懇をとおして外国人共生政策の拡充・確立に努めたい。

(市来伴子・参議院議員石川大我秘書。2020年6月12日号)

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