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ホームレスへの10万円給付は? 
炊き出し減り、仕事なくなり生活苦

渡部睦美|2020年6月1日5:56PM

5月1日、都の担当者に要望書を手渡す小川てつオさん(左)。(撮影/須藤梨枝子)

「日本国内のすべての住民の皆さまに、一律10万円(の「特別定額給付金」)を給付する」。高市早苗総務相は4月20日の会見でこう明言したが、「すべての住民」から排除され「特別定額給付金」を受け取れない可能性のある人たちがいる。路上生活を送るホームレスだ。彼らは「4月27日時点で、住民基本台帳に記録されている者」との給付条件に合致しないからだ。

東京都内の公園で約15年野宿生活をする小川てつオさんは、こう話す。「まず、新型コロナの感染拡大の中、炊き出しの回数が減ってしまった。アルミ缶の買い取り価格は下落し、民間の仕事や都の『特別就労対策事業』(公園などの清掃)もなくなり、収入ゼロ状態の人も増えた。ホームレスにとって10万円は3カ月から半年の生活費に値する。コロナ禍で最も困窮している一群であるホームレスに、このお金が渡らないとなると、路上死する人が出る危険もある」。

野宿生活者・支援者の団体「ねる会議」「聖公会野宿者支援活動・渋谷」「渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合(のじれん)」「ノラ」の4団体は4月27日、総務省と渋谷区に要望書を提出した。内容は(1)「今いる場所」の市区町村役所で申請から給付までをできるようにしてほしい、(2)住民登録が必須事項ならば「今いる場所」またはそこにある福祉事務所を住所として住民登録できるようにしてほしい――などだ。これに対し総務省は28日、各都道府県や指定市の給付金担当課に通知を出したが、住民登録が基本だとのスタンスは変わらないものだった。

4団体などは5月1日、11日に総務省、都、渋谷区の担当者と交渉、話し合いなどもしたが、住所の認定は各市区町村の「判断」に委ねられる曖昧な状況だ。本誌取材に同省担当者は「(給付金を)配れるものなら配りたい」とし「役所担当者と顔見知りである」事実でも自治体の判断で住民登録可能ではないかとの見解を示した。

(渡部睦美・編集部、2020年5月15日号)

 

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