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500億ユーロ(約6兆円)を経済的損失補償や生活支援へ--新型コロナ、ドイツの対応(他の国の補償例も)

田口理穂|2020年5月19日10:52AM

生活を見直す機会に

 4月6日現在でドイツでは10万24人が感染し、1576人が亡くなっている。死亡率は1・6%であり、12・3%のイタリア、9・5%のスペイン、2・9%の米国と比べても格段に低い。

毎週1万6000人を検査する体制が整っており、早期発見につながっている。一方、前述の政策のため、仕事を失ったり自宅待機の人も多く、経済への打撃は大きい。そこで政府は500億ユーロ(約6兆円)を用意し、さまざまな支援策を打ち出した。

たとえば5人以下の従業員を抱える個人事業者やフリーランスの場合、最大9000ユーロを支給。仕事が減って給与が減る会社員へ60%か67%を国が補填する「短縮勤務」の制度を適用する。フォルクスワーゲンなどの大手企業から中小企業まで申請しており、3月1日から遡って利用できる。また3月1日から6月30日まで生活保護を受けやすくし、家賃滞納による賃貸契約解除を禁止する。

状況は深刻だが、悪いことばかりではないかもしれない。ジョギングや散歩、サイクリングは許されているため、家族で仲良く過ごす姿が見られる。学校がないため子どものストレスが減り、きょうだい仲が良くなったという話もきく。

仕事に忙殺されていた人の中には、時間ができた人もいるだろう。家族と時間を過ごし、これまでの生活を見直し、社会について考える絶好の機会と捉えたい。

(田口理穂・在独ジャーナリスト。2020年4月10日号)

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