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新型コロナで「年越し派遣村」を再現させるな

宇都宮健児|2020年5月9日6:09PM

ドイツでは、3月27日に「社会的保護パッケージ法」が国会で採択され、3月29日から施行されている。

この法律により、生活保護が早期に利用しやすくなっている。連邦政府は、3月1日から6月30日までに受給申請した人に対し、6カ月間資産要件の運用を停止し、申請者が大きな資産はないと宣言した場合、実質的な資産はないと見なされ、生活保護が受けられる。

これによって、経済的危機に直面した市民が、最低生活以下に陥ることを防ぎ、預貯金を取り崩さなくてよくなる。また、6カ月間、住宅扶助の上限制限をなくし、現在住んでいる住居の実際の家賃額の給付を受けられる。これにより、現在住んでいる住宅を失わずにすむことになる。ドイツの政策には生活に困った人の居住、生存権を守るという原則が貫かれている。

政府の緊急事態宣言による休業要請や外出自粛要請で一番しわよせを受けるのは非正規労働者やシングルマザー、障害者などの社会的経済的弱者である。政府が行なう緊急経済対策は、単に規模が大きければよいのではなく、ドイツのように社会的経済的弱者が置かれている具体的状況を踏まえたきめ細かい対策でなければならない。経済対策の質こそ問われているのである。

リーマン・ショックの影響で派遣切りが多発し野宿を余儀なくされた派遣労働者が急増したことをきっかけに開設された、あの「年越し派遣村」を再現させてはならない。

(宇都宮健児・弁護士。2020年4月17日号)

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