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追い詰められたDHC 
「反SLAPP訴訟」、二審東京高裁も敗訴

岩本太郎|2020年4月27日5:17PM

澤藤統一郎氏は3月9日、コロナ新法反対声明の会見でも発言。(撮影/岩本太郎)

化粧品・健康食品会社のDHC(東京都港区)の吉田嘉明会長と澤藤統一郎弁護士との裁判は今回も澤藤氏の勝利となった。3月18日、東京高裁(秋吉仁美裁判長)は一審の東京地裁(昨年10月4日判決)に続き吉田氏とDHCの訴えを退け、澤藤氏に165万円を支払うよう命じる判決を下した。

もともとこの問題は2014年3月、吉田氏が当時衆議院議員の渡辺喜美氏に資金を貸し付けた件をブログで批判した澤藤氏に名誉毀損だとして2000万円(後に6000万円まで増額)の賠償を求め名誉毀損訴訟を起こしたことに端を発する。この訴訟は15年9月に東京地裁が原告の請求を棄却する判決を言い渡し、吉田氏が最後は最高裁に上告受理を申し立てるも不受理(16年2月)となり確定。他方で今度は逆に澤藤氏が、自身に対しての前記の訴訟がSLAPP訴訟(高額の損害賠償請求により相手を威嚇する訴訟)にあたるとして、吉田氏とDHCを相手に慰謝料など660万円の支払いを求め17年11月に訴えた。これについて昨年10月の東京地裁(前澤達朗裁判長)は前述の通り澤藤氏側の訴えを認める判決(賠償金110万円)を言い渡したが、吉田氏とDHCは控訴。だが控訴審でも敗れ、賠償金はさらに55万円増額される結果になった。

この判決について澤藤氏は当日中にブログで「金額はともかく、(略)スラップ提訴の意図と違法を認めた判決に満足している」とさっそく表明。一審判決が吉田氏の「言論を恫喝し萎縮させる意図」の有無に無関心だったのに比べて踏み込んだ内容だと評価した。

対する吉田氏とDHCは今回も判決を不服として上訴期限最終日の4月1日に最高裁に上告した。澤藤氏はなおも裁判の経過を逐一ブログで発信しつつ、勝訴判決の確定の際には記念イベントを企画したいとの意向も公表している。なおDHC広報部はこの件について「御社の問い合わせには対応しかねる」と本誌に電話で回答した。

(岩本太郎・編集部、2020年4月10日号)

 

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