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森友事件、近畿財務局職員を死に追いやったものの正体

片岡伸行|2020年4月4日6:34AM

2018年1月26日に衆議院第二議員会館で開かれた「森友問題責任の徹底追及を求める院内集会」であいさつする木村真・豊中市議。(撮影/片岡伸行)

【第三者による調査を】
「大変痛ましい出来事で、本当に胸が痛む。あらためてご冥福をお祈りしたい」

「手記」公開後の安倍晋三首相の白々しい反応(3月18日)に、木村市議は怒りが収まらない。

「まったく他人事。第三者のような態度。改竄は、国有地の異常な〝叩き売り〟に安倍昭恵氏が関係していたことを隠すためであり、実際、5カ所あった『安倍昭恵』の名がすべて削除されました。また、改竄の直接のきっかけが安倍首相の『私や妻が関与していたなら総理も国会議員も辞める』という国会答弁(17年2月17日)であったことは財務省報告書でもはっきりしています。自分の責任について何とも思っていないのでしょうか?」

改竄の目的(首相の妻の関与)などが明確になることを恐れ、安倍首相と麻生財務大臣は「再調査はしない」との発言を繰り返したのだろう。死を賭しての赤木氏の告発を徹底的に無視する構えだ。妻はこれに真っ当な抗議をした。

〈この2人は調査される側で、再調査しないと発言する立場ではない〉

木村市議はこう指摘する。

「組織ぐるみで大規模な改竄をやらかした財務省自身に再調査させても意味はありません。必要なのは第三者による厳正な調査です」

【「改竄」の真相究明を】
改竄の指示をしたのは誰か。木村市議は「財務省の報告書ではそこを曖昧にし、ごまかしている」と言う。

〈すべて、佐川理財局長の指示〉と名指しされた佐川氏だが、一官僚である佐川氏が独断で改竄を指示したとは考えられない。佐川氏に指示をした「誰か」がいる。

木村市議ら「森友学園問題を考える会」は佐川氏の再度の国会証人喚問を求める署名を集めている。目標の1万筆が目前となった3月18日に「手記」が公開されると一気に署名が増え、1週間後の3月25日には7万筆になった。

「まずは、佐川氏の国会証人喚問を求めていきますが、それは『入口』に過ぎません。問題の国有地売買契約締結(16年6月20日)の3日前に理財局長となったばかりの佐川氏は売買にはほぼ関与しておらず、佐川氏の喚問だけで真相究明はできません。昭恵氏の意向を受けて財務省と折衝した『秘書』の谷査恵子氏、財務省での窓口となり籠池泰典氏と会って話をした国有財産審理室長(当時)の田村嘉啓氏、佐川氏の前任の理財局長・迫田英典氏、そして誰よりも、安倍昭恵氏その人から詳しく事情を聴く必要があります」

組織ぐるみの公文書改竄は悪質な国家犯罪だが、大阪地検特捜部は18年5月、佐川氏ら財務省関係者計38人を「不起訴」とし、検察審査会の「不起訴不当」議決を受けてもなお、19年8月に再び佐川氏らを「不起訴」とした。

木村市議は最後に強調した。

「文字通り、命をかけて告発した赤木氏、自らも死を考えたという妻の無念の思いが裁判で晴らされることを心から願っています。改竄の目的と指示系統を明らかにし、しかるべき人物にしかるべき責任を取らせることのないまま、うやむやのうちに幕引きするのは許されない。すでに壊れかけているこの国の法治主義・民主主義が〝最終死亡宣告〟を受けるにも等しいことです。われわれもしぶとくしつこく食らいついていきます」

赤木氏を死に追いやったものの正体を明らかにすることは赤木氏の無念を晴らすだけでなく、この国を腐敗させている私物化や改竄・虚偽・隠蔽といった膿の元を取り除くことにもつながる。

(片岡伸行・記者、2020年4月3日号)

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