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森友事件、近畿財務局職員を死に追いやったものの正体

片岡伸行|2020年4月4日6:34AM

豊中市の国有地に建設途中のまま放置された「瑞穂の國記念小學院」。(撮影/片岡伸行)

公文書改竄を強いられ、自ら命を絶った近畿財務局職員。その悲痛な叫びが、多くの人の怒りを呼び覚ました。闇に葬られようとしていた森友学園事件。疑惑に火を付けた木村真・豊中市議の見解を紹介しながら、職員を死に追いやったものの正体に迫る。

〈元は、すべて、佐川理財局長の指示です〉〈本省がすべて責任を負うべき事案ですが、最後は逃げて、近畿財務局の責任とするのでしょう〉〈この事実を知り、抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るのか、ずっと考えてきました〉(『週刊文春』3月26日号・赤木俊夫氏が遺した「手記」より抜粋)

森友事件の公文書改竄に従事させられた経緯を記した財務省近畿財務局の職員・赤木俊夫氏(享年54)の「手記」が、元NHK記者の相澤冬樹氏の記事とともに紹介された。赤木氏が自ら命を絶ったのは2018年3月7日。今年3月に三回忌を終え、妻が「手記」の公開を決意したという。

夫の死の真相を知りたいと、3月18日には赤木氏の妻が国(財務省)と当時の理財局長である佐川宣寿・元国税庁長官に計約1億1000万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴した(本誌3月27日号「金曜アンテナ」記事参照)。

【「手記」の核心】
森友疑惑の火付け役となった木村真・豊中市議は、「手記」の核心について「改竄をめぐる本省からの指示や近畿財務局での対応が、実名を挙げて詳細に記されていること」と述べる。

というのも、「財務省の調査報告書(18年6月4日付)でも『何が起こったのか』についてはそれなりに詳しく書かれていますが、『誰が』という主語が決定的に欠落している。(手記は)それと好対照」(木村市議)だからだ。

「手記」の中で〈刑事罰、懲戒処分を受けるべき者〉として実名が記されているのは、前述の佐川氏のほか次の5人である(いずれも役職は当時)。

・理財局次長(中尾睦)
・中村(稔)総務課長
・国有財産企画課長(冨安泰一郎)
・田村(嘉啓)国有財産審理室長
・国有財産審理室の杉田補佐

このうち「杉田補佐」は「手記」の中で〈悪い事をぬけぬけとやることができる役人失格の職員〉と形容されている。

「手記」ではまた、麻生太郎財務大臣や太田充理財局長(佐川氏の後任)の国会答弁(18年2月時)を〈明らかに虚偽答弁〉と指摘し、野党からの資料請求や会計検査院の検査に対する妨害についても具体的に記されている。木村市議は「財務省の調査報告書を覆っていたヴェールがはがされ、かなりクリアになった」とする。

公文書は国民の知る権利と民主主義にとって不可欠なものだ。その改竄に〈抵抗した〉という赤木氏は「公僕」として当然のことをした。一方、赤木氏の抗議や抵抗をはねつけたとされる前述の彼らは、公僕ではなく誰かの〝私僕〟となっていたのだろう。

今回の裁判で、妻の代理人弁護士は「手記」で実名の挙げられている全員を証人申請する方針という。反論があるなら裁判のみならず国会の場でも説明すればよい。

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