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中国電力、上関原発の調査中断

山秋真|2020年1月28日3:48PM

原発予定地の海で祝島の漁船(左)に場所を空けるよう依頼する中電の船(中央、右)。(撮影/岡本直也)

中国電力(以下、中電)は2019年12月16日、山口県上関町に計画中の上関原発の建設予定地での海域ボーリング調査を一時中断すると発表した。11月8日から準備の予定だったが作業が進まず、海底を掘削する準備の潜水作業や台船を曳いてきて設置する作業を冬の荒海で安全に行なうのは難しいこと、仮に台船を設置できても掘進完了と台船撤去に20年3月頃まで要し、そこまでの資機材や人員の手配ができないことを理由に挙げた。再開時期は未定という。

この間に中電が社員や作業員を予定地海上に派遣したのは13回。その倍の26日間は派遣を見送った。「説明では予定地にある断層の延長上で1カ所、60メートルを掘って調査するとのことだった。1日に掘れるのは約2メートルというから完了には1カ月。シケの日がなくても20年1月30日までの予定期間内で完了するには19年12月末までには着手したいはず」と上関町祝島の漁師らは中電の動向を注視。中断発表4日前の同12日にも、中電からの同10日付回答に対して「上関原発を建てさせない祝島島民の会」(以下、島民の会)が質問を送付したところだった。

なぜなら10日付回答は「00年の漁業補償契約の締結により今回の調査を含む各種調査の実施および調査による漁業操業上の諸迷惑についても漁業補償金を支払った」「それは地区の漁獲高全般を元に算出した包括的な補償であり、漁業補償の問題は既に解決済み」等の趣旨だったからだ。同回答に対し島民の会は反論するとともに、今回調査において漁業補償額算定の主要要素である「平年の純収益」を00年時点でどのように算定したかを問い、中電の言う包括的な漁業補償方式が違法ではないことの説明等を求めたのだ。

その矢先の「一時中断」発表を受け、島民の会は同18日に同会のブログを更新。「中電がボーリング調査と上関原発計画を断念して撤回するまで予断を許さない」との認識を示した。

(山秋真・ライター、2020年1月10日号)

 

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