「愛される右翼」の謎
雨宮処凛|2020年1月1日7:00AM
最近、そんな鈴木さんが主人公のドキュメンタリー映画が完成した。タイトルは『愛国者に気をつけろ!』。自身が右翼に誘った森田必勝氏との思い出や、今のようなスタンスとなった背景が語られる。そうしてこの映画では、「なぜ、鈴木さんの周りにはいつも彼を慕う人間が大勢いるのか」という謎にも迫っている。
なぜ、鈴木邦男は、「愛される右翼」という新ジャンルを打ち立て、愛され続けているのか。答えは映画をぜひ観てほしいが、20年以上の付き合いがある中で、私は鈴木さんに一度も何かを押し付けられたことがない。
「自分は正しい」という傲慢を感じたこともない。その上、私が映画監督から鈴木さんの印象を聞かれて「年老いたハムスター」とか言ってもちっとも怒らず笑っている。「男のメンツ」とか「沽券」とか、何の役にも立たないけどなかなか捨てられないものを、とっくの昔に捨て去っている。この国の70代なかば男性にはなかなかできないことではないかと思う。
そんな『愛国者に気をつけろ!』は2020年2月から公開予定だという。気になる人はぜひ観て、「孤独死しない方法」を鈴木さんから学ぶといいかもしれない。
(あまみや かりん・『週刊金曜日』編集委員。2019年11月15日号)