「愛される右翼」の謎
雨宮処凛|2020年1月1日7:00AM
私には、大きな影響を受けた「3人のオッサン」がいる。
3人ともデビュー前から知っているのだが、一人目は元赤軍派議長の塩見孝也氏。フリーター時代、たまたま行ったイベントで塩見さんは「世界同時革命」というパワーワードを連発しまくり、若者と見るや「平壌に行こう!」と声をかける非常に不審な人だった。で、「迷ったら危険な方に行く」をモットーとする私はその誘いに乗って初めての海外旅行で北朝鮮に渡航。計5回かの地に渡り、日朝会談直後にガサ入れが入ることとなる。
二人目は、ロフトプラスワンを作った平野悠氏。そして三人目が、新右翼団体一水会・元最高顧問の鈴木邦男氏だ。
鈴木さんと出会ったのは、私が20代前半のただのフリーターだった頃。もう20年以上前だ。たまたま行ったイベントの打ち上げで隣の席になった「ぼーっとしたおじさん」が鈴木さんだった。話してみると気さくで面白いおじさんで、その場にいた人が「この人、右翼なんだよ」と教えてくれた。へー、右翼って物静かないい人なんだ。「初右翼」が鈴木さんだったことから、私の中にはそんな勘違いが生まれてしまう。
そこから付き合いが始まったわけだが、出会った頃から「ほとんど左翼」と言われていた鈴木さんは、その後、より左傾化していった。国旗国歌法に反対し、安保法制にも反対。憲法改正にも反対で「自由のない自主憲法より、自由のある押し付け憲法の方がいい」と発言。ネットなどでは「売国奴」と叩かれまくっている。