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揺らぎ始めた安倍一強政治

佐藤甲一|2019年12月31日7:00AM

 こうした状況が生まれるのは、政権が交代期、悪く言えば末期に来たからであり、ひいては行き過ぎた党内抗争の結果、政権を失った「いつか来た道」の始まりになりかねない。

もちろん「公職選挙法」という政治家のイロハのイの、さらに第1章ともいえる香典の扱いや選挙活動の法定費用について堂々と違反していた疑いが浮上することだけで、アウトである。法を知らなかったというよりは、長い一強政治が続いていることによる慢心、気のゆるみ、つまり「高をくくっていた」ということだろう。

こうした側近のダレた姿勢は同時にリーダーたる菅氏の緩みと指摘されても仕方ない。だが加えて安倍首相の側近中の側近である萩生田光一氏の「身の丈」発言とそれをきっかけにした大学入学共通テストの英語科目における民間試験の導入延期という前代未聞の政策変更こそ重大である。

もし萩生田発言がなければ英語民間試験は間違いなく導入されただろう。それは共通ID発行申請が始まる11月1日前に延期が決められなかったことからも明らかだ。つまりいったんはスタートさせてしまったのである。

延期とあれば同時に政策変更の責任を取って萩生田大臣が引責辞任するのは当然である。国民の未来にかかわる公平性が問われている事案であるにもかかわらず、何事もなかったように国会で答弁し、挙句の果ては記述式試験の採点をアルバイトが行なうことを事実上認めてしまった。こんないい加減な大学入学試験がまかり通ろうとしていたのである。辞任は当然ではないか。

だが安倍首相は側近を守った。問題はこの点だ。菅氏は身内を守り切れなかったという指摘もあるが危機管理でいえば即刻辞任させるのが最も傷が浅い。ダメージは最小で済んだ。しかし萩生田氏の続投はこの問題を国会で延々と長引かせることになる。

第1次安倍政権が短命に終わった理由の一つは、不祥事を抱えた大臣を辞めさせることなく「かばった」点にある。身内可愛さの温情が果たして国民の目にどのように映るか。

重大な政策変更は議論の前提を崩すものであり、政治に対する信頼を損なうものでもある。野党は腹をくくって、権力に信を問うことを迫る時機が到来しているのではないか。

(さとう こういち・ジャーナリスト。2019年11月15日号)

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