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伊勢市美術展で「慰安婦」像扱った作品展示不可に

植松青児|2019年12月11日6:19PM

花井氏の作品「私は誰ですか」。左が改変前、右が三度目の修正版。女性像を描いた部分をスプレーでぼかし黒テープで貼ったが、それでも伊勢市は展示不可にした。

三重県伊勢市で10月29日から11月3日まで開催された伊勢市美術展覧会(市展)で、運営委員の花井利彦氏が制作したB2判のポスター作品「私は誰ですか」が、主催の伊勢市によって「展示不可」とされた。

不可作品は黒を背景に、赤く塗られた手のひらと石を配し、左上には中国人従軍「慰安婦」像の写真をコラージュしたもの(写真左参照)。

花井さんは「運営委員作品」の枠で10月20日に作品を会場に搬入したが、伊勢市は開幕直前の同28日に展示不可を決定する。同市教育委員会文化振興課の山口一馬課長は「あいちトリエンナーレでの『平和の少女像』をめぐる出来事に鑑み、市展を訪れる市民の安全確保のため展示を不可にした」と筆者の取材に対して答えた。

では、伊勢市は本当に「安全確保」を理由に展示不可にしたのだろうか。取材を進めると、市の「ありえない」対応がいくつも明らかになった。

まず、展示不可を決定するまでの過程で、伊勢市は三重県警に対し相談も連絡も行なっていないことを認めた。一般的に、市町村が主催するイベントで外部者から危害を加えられる可能性を懸念した場合は、内部で警備体制を強化するか、警察に相談して情報を共有、対策を相談するはずだ。しかし同市は今回、県警と情報共有すら行なっていない。「安全性の確保」という目的と、実際の対応との間にまったく整合性が取れていない。 

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