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部落解放同盟、関電原発マネー報道で「差別助長」と見解

平野次郎|2019年11月27日4:04PM

“原発のドン”記事を掲載した『週刊新潮』(右)と『週刊文春』。(撮影/平野次郎)

関西電力の役員ら20人が高浜原発がある福井県高浜町の元助役の森山栄治氏(故人)から計約3億2000万円の金品を受け取っていた問題で、『週刊新潮』(10月10日号)と『週刊文春』(同)が、関電幹部を恐れさせた森山氏の力の背景に部落解放同盟が存在することを臭わせる記事を掲載した。これに対し解放同盟中央本部は、同和問題と結びつけることで差別を助長し問題の本質をすりかえるものだとする見解を出し、新聞や雑誌など報道各社に郵送した。

『週刊新潮』の記事は「『関電』が震え上がった『高浜原発のドン』呪縛の核心」というタイトル。本文で「森山さんは部落解放同盟の力を笠に着て、役場でも出世していきました」との共産党町議の言葉を引用し「関電幹部が彼との関係悪化をおそれて金品を返せなかった理由が、ここにある」とする。

『週刊文春』は「関電“京大閥”が利用した“原発のドン”の正体」のタイトル。森山氏が「人権団体を率いて、差別をなくす“糾弾活動”の名目で恐怖政治を敷き」と同じ町議の言葉を引用し、当時、女性教師が差別発言をしたとして森山氏らに糾弾され教員を辞めたという話を紹介している。

両誌が発売された10月3日ごろからインターネット上では「同和のドン」「本質は同和」などの差別的書き込みが拡散し、高浜町にも差別的電話などが後を絶たない。

解放同盟の見解は「コメント」として10月7日ホームページと21日付『解放新聞』に掲載された。森山氏について、1970年に結成された解放同盟福井県連合会と同高浜支部の書記長を兼任したが2年後に解任されており、それ以降は森山氏の問題に同盟は一切関与していないとする。森山氏をならず者呼ばわりするために被差別部落出身者であり解放同盟の関係者であるとし、「部落は怖い」との予断や偏見を利用していると批判。「事件の本質を遠のかせてしまうことになる」と述べている。

(平野次郎・フリーライター、2019年11月15日号)

 

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