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米ワシントン近郊に「少女像」設置

2019年11月25日6:50PM

アナンデールでの除幕式で、「少女像」と対面する元「慰安婦」の吉元玉さん(中央。撮影/山口智美)

米国の首都ワシントンD.C.近郊のバージニア州アナンデールで10月27日午後、新たに設置された「慰安婦」を象徴する「平和の少女像」(以下、「少女像」)の除幕式が行なわれた。アナンデールはコリアン系住民が多く住む「コリアンタウン」とも呼ばれる地域で、ワシントン地区最古の韓国系英字新聞社『コリア・タイムズ』などが入る商業ビル前の土地に設置された。

「少女像」としては、カリフォルニア州グレンデール、ジョージア州ブルックヘイヴンなどに続き、米国で5体目となり、「慰安婦」を記念する碑や像も含めると、米国では合計14の碑や像が作られたことになる。バージニア州内では、フェアファックス郡の公有地に市民団体「ワシントン慰安婦問題連合」(WCCW)が2014年に設置した碑に続き、二つ目の関連の碑や像だ。

今回の除幕式は、コリアン系米国人による三つの団体に属する市民が中心となり結成された「平和の少女像実行委員会」が主催したもの。実行委は、3年間の苦労の後にようやく像が設置されたと強調した。像は16年11月に、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協、当時)とイソル化粧品が、ワシントンへの設置を願い、コリアン系米国人コミュニティに寄贈したものだ。

同年12月には実行委を構成する団体の一つ「ワシントン希望の蝶(ナビD.C.)」が像を歓迎する集会を開いたが、その後、設置場所探しが困難を極めた。17年3月には、ワシントン近郊のメリーランド州の州立大学であるソールズベリー大学に設置が予定されていたが、除幕式の数日前に大学側が設置を取り消した。

碑や像の設置が急遽キャンセルされたり、場所探しが困難を極める事例はこれまで、米国やカナダ、オーストラリア、ドイツなどでも起きてきた。背景には、日本政府による「歴史戦」の一環としての、設置を阻止しようとする圧力がある。さらに、日系企業からの反対、日本の姉妹都市、右翼勢力からの抗議が殺到するなどの事態も起きており、「官民一体」での設置反対や撤去に向けての活動が行なわれてきた。

たとえばミシガン州サウスフィールドの「少女像」は、決まりかけていた市図書館前への設置案が13年に突然キャンセルになり、その後も公有地への設置を目指して近隣の市や大学、博物館などに呼びかけて探したが見つけることができず、14年に私有地に設置された。シカゴ地域での像設置計画は、場所が見つからないため、現在に至るまで像は4年間も倉庫に入ったままだ。

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