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「表現の不自由展・その後」は取材不自由

臺宏士|2019年11月6日6:03PM

展示室に掲示された表現の不自由をめぐる年表には、不自由展の中止と再会が手書きで追加された。(撮影/臺宏士)

愛知県で開かれた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」(以下、あいトレ)の企画展「表現の不自由展・その後」は、表現の自由をめぐり議論を呼んだ展示会だったが、主催者のあいトレ実行委員会は、再開後の会場取材を認めないなど、厳しい報道規制を最後まで敷いていた。

「再開後の当該展示室内の様子及びその展示作品の写真・映像について、報道等で使用することを現時点では控えていただきますよう申し入れます」

あいトレ実行委が9日、報道関係者に配布した文書にはそう記されてあった。実行委の狙いはこうだ。再開して2日目のこの日から鑑賞者による撮影をようやく許可することにした。ただし、会期中はSNS等へ投稿しないことが条件で、同意書に署名までさせたのだ。一連の規制は、SNSで拡散された再開後の写真を見た人たちによる攻撃を誘発するのではないかと懸念した、大村秀章知事の強い意向だとされる。

文書は、鑑賞者が撮影した写真を報道機関に提供したり、鑑賞者として撮影した報道関係者が報道することなどを想定したもので、実行委は「正式な取材による撮影ではない」として会期中の報道を規制するという。取材は登録した記者にスタッフが同行して行なうスタイルしか認めていない。

一方、あいトレ実行委は11日のみ会場での代表取材を県政記者クラブに認めた(この映像使用は容認)。フリーを含む希望者に許可したのは、12日と13日の閉館中の展示室への立ち入りだけで、撮影機材の持ち込みはさせなかった。

表現の不自由展実行委員会は11日、「一刻も早く報道規制を撤廃し、報道の自由を実現するよう求めます」とする声明を出した。結局、撮影が認められたのは14日の閉幕後だった。

メディア関係者にとっては、報道の不自由展でもあった。

(臺宏士・ライター、2019年10月18日号)

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