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諫早湾干拓訴訟、「開門無効」を最高裁が破棄の行方

永尾俊彦|2019年10月8日6:26PM

最高裁判決後、「農漁共存の和解を!」と訴える原告・平方宣清さん。(撮影/永尾俊彦)

国営諫早湾干拓事業(長崎県)の堤防排水門の開門を命じた確定判決を強制しないよう国が求めた上告審判決で、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は9月13日、国の訴えを認めた昨年の福岡高裁判決を破棄、差し戻した。同高裁は、10年ごとに更新される漁業権に注目、確定判決後に漁業権が更新された時点で開門請求権も消滅したと判断していた。

しかし、同小法廷は、確定判決は漁業権消滅後も同じ内容の漁業権が与えられることを前提にしていたとし、「確定判決の異議の事由とはならない」とした。

その上で、確定判決が5年間に限って開門を認めたのは漁獲量の減少や堤防の災害防止機能などが環境の変化で変わる可能性があるからだとし、確定判決を「暫定的」なものと位置づけた。そして、「確定判決に基づく強制執行が事情の変動により権利の濫用となるか」など他の異議について審理を尽くさせるため差し戻すとした。「事情の変動」とは確定判決から9年たち、営農が続いていることなどの既成事実を指すとみられる。

また菅野裁判長自身も補足意見で「確定判決の後も積み重ねられている司法判断」も考慮すべきとし、今年6月に同小法廷が開門をめぐる別の二つの裁判で非開門の決定をしたことなどを念頭に同方向での決着を示唆したと読める。

しかし、上告した漁民側弁護団の堀良一弁護士は「それは間違いです」と指摘し、こう述べた。

「補足意見はあくまでも個人の意見で、下級審を拘束しません。先例になるのは合議体としての最高裁の意見。国の異議を認めるか結論を出すには国の主張する事情変更・権利濫用論が正当か判断しなければならず、そのための事実認定をさせるために差し戻した訳で、ごく当たり前の判決です」

判決後、原告の佐賀県の漁民・平方宣清さん(66歳)は満面の笑みで「農漁共存の和解」を訴えた。

(永尾俊彦・ルポライター、2019年9月20日号)

 

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