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「死刑をなくそう市民会議」設立集会に中山千夏氏ら350人

横山茂彦|2019年9月20日7:23PM

【被害遺族の立場から】

共同代表世話人の片山徒有さんは、息子を交通事故で亡くしている。加害者が不起訴処分だったことから独自に事故を調査して、検察の誤りが正された。以来、法務省の依頼のもと受刑者たちに、被害者の視点から矯正のための講演などを行なう。4人家族の息子が失われるということは「食卓の脚が一本なくなることでした」として、家族を継続するにはこの脚の欠けた食卓を「あなたが支えてくれますか」と、加害者に問いかけることだったという。そして「被害は社会が引き継ぎ、回復するものなのです」と語った。「網の目」と「継続」。いずれにしても、加害者に死刑を押し付けるのではなく、社会が犯罪を引き受けなければならないのだ。死刑廃止は人を殺さない社会を展望することにほかならない。同じく共同代表世話人の菊田幸一明大名誉教授は「終身刑の導入で死刑を中止すること」が可能だと提起した。傾聴に値する。

ところで、80%が死刑賛成という世論は、死刑廃止を実現した国でもめずらしいものではない。1969年に廃止したイギリスでは81%の国民が存置賛成だった。フィリピンは2006年に廃止したが、やはり80%が存置賛成である。人を生かす社会をめざすのか、人を殺す社会のままでよいのか。政治の決断がもとめられる。そして政治を動かすのは、わたしたち国民だ。あなたはどう考えますか?

(横山茂彦・編集者、著述業、2019年9月6日号)

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