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靖国神社で南京大虐殺抗議の香港人 
長期拘留の異常さ

中村富美子|2019年8月23日11:35AM

左から笠原十九司、田中宏、和仁廉夫の各氏。(3点とも撮影/中村富美子)

2018年12月12日、靖国神社で「南京大虐殺を忘れるな!」と抗議した香港市民2人が逮捕・起訴された件は本誌でも取り上げてきた。横断幕を掲げ訴えた郭紹傑さんと、市民記者としてこれを撮影した巌敏華さんの罪名は「建造物侵入罪」。誰でも入れる境内「外苑」での抗議の様子はユーチューブで見られるが、抑え込む警備員らの怒号の方が凄まじい。

さらに異常なのは、7カ月を超える勾留が続いていることだ。

東京地裁で第6回公判があった7月17日、報告会の席上でも長期勾留が問題にされた。弁護団によれば旅行者である2人は逮捕により短期在留資格もはく奪されたため、度重なる保釈請求が却下されてきた。実務上はどうあれ法律上は出入国在留管理庁による強制送還の対象になりうるため、裁判所は保釈に消極的だという。「ならば裁判闘争を続ける被告の強い意志を示し、裁判所も公判維持のために入管に対して強制送還させないよう措置を講ずべきだと、より踏み込んで保釈請求しては」と会場から声が上がり、弁護団の背を押す場面もあった。

この報告会では、冒頭に笠原十九司さん(都留文科大学名誉教授)の講演が行なわれた。

昨年末『増補 南京事件論争史』(平凡社ライブラリー)を上梓した笠原さんは、学問的には決着がついている南京大虐殺が、政府によって政治論争化している点を指摘。「安倍政権を、南京事件から見る」のテーマで、安倍政権が加害の歴史を捻じ曲げ、なかったことにしようとする使命感をもったイデオロギー的政権であること、その核心に触れる抗議行動だったからこそ2人は逮捕・起訴され理不尽な勾留にあっていると論じた。

同時に、被害を受けた側が現政権をどう見ているかを理解しようとせず、決定的に外からの視点を欠いたメディアを批判。「徴用工問題でも、テレビをつければ韓国が悪いと言ってバッシング。どうしようもない」と現状を憂えた。

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