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加計学園の行政文書、いまだ不開示 
国の不可解な主張とは

片岡伸行|2019年7月30日4:03PM

加計学園獣医学部の行政文書を不開示にした文部科学省。(撮影/片岡伸行)

数々の疑惑が放置されている「加計学園(岡山理科大学)獣医学部」問題だが、同学部に関する行政文書のいくつかは現在もなお開示されず、隠蔽されたままだ。その不開示決定処分取り消しを求める訴訟の第3回口頭弁論が7月10日、東京地裁(古田孝夫裁判長)で開かれ、国側による驚くべき不開示の理由が示された。

原告側は、「世界に冠たる先端ライフサイエンス研究」として約100億円にも上る税金が投じられ、バイオセーフティレベル(BSL)3という危険な病原体を扱う研究施設を持つ同獣医学部には説明責任が課されるとして、校舎設計図面や同学園理事会の議事録などの開示を求めている。

一方、国側は「法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」などとして不開示は妥当とし、また、設計図面の不開示理由として、BSL3施設への「部外者の不法侵入」や「病原体等の外部流出」のおそれがあるなどと主張。同日の「第二準備書面」ではさらに、4月に東京都文京区のお茶の水女子大学附属中学校で発生した「不審者侵入事件」を引き合いに出してきた。皇族の子どもの教室机の上に刃物が置かれた学校と、病原体を扱う獣医学部の研究施設とを同列に扱うことに疑問を感じなかったのか。

しかも、原告側が訴状で指摘しているとおり、不法侵入や外部流出が発生すれば国家レベルの緊急事態となる原子力発電所では、各施設・各階の平面図などが国会図書館で公開され、また、加計獣医学部と同様のBSL3施設を持つ京都産業大学の研究施設・実験室の概要図もウェブサイト上で公開されている。国側が加計獣医学部の研究施設にだけもっともらしく主張する「不法侵入」などという不開示理由には説得力がない。本当の理由は別にあるのだろう。

原告の福田圭子さん(東京都在住、元大田区議)は、国側の主張に呆れながらも「病原体が外部に漏洩するような事故が起きれば近隣住民の生命・財産に重大な侵害を生じさせることが予想されるのですから、その安全性を検証するためにも国側はきちんと図面などを開示すべきです」と話す。

次回第4回口頭弁論は9月2日。原告側は国の主張への反論と証人申請をする予定だ。

(片岡伸行・記者、2019年7月19日号)

 

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