原発事故から「最短潜伏期間」が過ぎ、
福島県で胃がんが「有意な多発」
2019年6月6日12:26PM
その結果は左の【表】のとおり。福島県においては、15年でも胃がんが男女ともに「有意な多発」状態にあることが判明した。
4年間の最短潜伏期間が過ぎた胃がんで「有意な多発」が確認されたことが意味するのは、福島県の胃がん患者たちがその4年前、何らかの同じ発がん性物質に揃って暴露した結果、胃がんを発症した恐れが高い――ということだ。
福島第一原発事故以降、「3・11甲状腺がん子ども基金」等を通じて福島県民の健康問題に取り組み続けている医学博士の崎山比早子氏は語る。
「事故後に福島県民の健康面が危惧されているのですから、具体的かつ積極的な対策に乗り出す時期が来たのだと思います。
こうした指摘は、本来なら国立がん研究センターの研究者や大学の研究者などの専門家が、最初に言い出すのが自然だと思うのですが、なぜかそうではありません。法律に基づき、全国がん登録事業が始まったわけですから、被曝との関係で健康をチェックするために最大限活用すべきだと思います。なぜ、全国がん登録のデータを生かさないのでしょうか。
私はこの方面の専門家ではありませんが、がん登録されている詳細なデータを使えば、市町村ごとの地域差を比較する検証もできるのではないかと思います。こうしたデータを使えるのは、国立がん研究センターや大学などの専門家等です。専門家が積極的に調べて研究の内容についても公に議論をしてほしいと思います」
胃がんに加え、甲状腺がんや悪性リンパ腫、白血病、前立腺がん、胆のう・胆管がん、卵巣がんの詳細な分析結果は、明日(2019年6月7日)発売の『週刊金曜日』6月7日号で6ページにわたって詳細に掲載している。
(明石昇二郎・ルポライター)