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港湾労組が全国一斉ストライキ 
「貿易立国支える労働者守れ!」

松元千枝|2019年5月15日3:38PM

4月14日の全面スト中、港をパトロールする組合員たち。(提供/全国港湾労働組合連合会)

港湾事業団体が最低賃金に関する協定を拒否したとして、港湾労働者が、組合のあるなしにかかわらず全国の港で4月14・15日に48時間ストライキを決行した。団体交渉はゴールデンウイーク前にも予定され、1万6000人を組織する全国港湾労働組合連合会(全国港湾)は、ストを視野に入れて臨む。

全国の事業者団体でつくる日本港運協会(日港協)は、賃金関連の協定を2016年から拒否してきた。今春闘では、産業別統一要件としての最低賃金協定が独占禁止法に抵触すると主張。労組が中央労働委員会にあっせんを申し入れていた。

中労委は今年2月、使用者の行為は独禁法に抵触しないと判断し、労組は4月9日にあっせん案を受け入れた。

全国港湾は1972年から産業別労使交渉を継続してきたが、2013年頃から業界側が個別交渉を要求しはじめた。

独禁法を引き合いに出したのは、日港協側が業界の結束を固める一方で、労働者を企業ごとに分断するためだと、全国港湾の松本耕三委員長代行はみる。

個別企業単位での団交に切り替えた場合、労働側が賃上げを勝ち取れたとしても、市場競争の激化に耐えられない中小企業は労働条件の切り下げを余儀なくされる。日港協加盟の約2000社のうち、中小企業が9割を占める。

労働者にとって労働条件を維持するには、産業横断で結束して闘う必要があると松本さんは言う。

「最低賃金を含む労働協約は、港湾労働者の待遇改善の基礎になるもの。さらに、集団交渉は憲法28条で保障された労働者の団結権だ。港湾や運輸は、貿易立国の日本にとって動脈である。産別交渉で労働条件を引き上げて労働者を集め、労働力不足を解消することは、労働側だけでなく、事業者にとっても要であるはずだ」

(松元千枝・ジャーナリスト、2019年4月26日号)

 

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