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都教委、君が代「不起立」教員に再任用打ち切りの事前通告

永尾俊彦|2019年4月17日3:02PM

都教委による「新たな攻撃」を受けた川村佐和さん。(撮影/永尾俊彦)

卒業式などでの君が代斉唱時の不起立・不伴奏で東京都教育委員会から処分された教職員らの「被処分者の会」などは3月30日、今年の都立学校卒業式の状況を総括する集会を都内で開催。「再任用打ち切りの『事前通告』問題」という都教委の「新たな攻撃」が報告された。

60歳定年後の再任用を希望する教員はこれまで通常65歳まで任用されていた。だが、今年から労使協定で年金支給開始年齢(経過措置で今年は63歳)に達する年度までは採用するが、定年前5年間に処分歴がある場合、任期を更新せず、非常勤教員としても採用しないと2人の教員に事前通告した。

この通告を受けた川村佐和さん(60歳)は16年3月の卒業式で起立せず戒告処分を受けたが、「不起立で都教委に定年後の雇用を拒否された教員が損害賠償を求めた訴訟で、昨年7月最高裁は、一審原告が勝訴した東京高裁判決を破棄、逆転敗訴判決を出したので、『事前通告』をしても大丈夫と判断したのでは。都知事が替われば制度が変わるかもしれず、嫌がらせとしか思えません」と話した。

また集会では、不起立で都教委から処分を受けた教員13人が処分の取り消しなどを求めていた裁判で、3月28日付で最高裁が一審原告ら及び都教委双方の上告受理申し立てを受理しない決定をしたと平松真二郎弁護士が報告した。これで戒告を容認するが、減給は「裁量権の逸脱・濫用」として取り消した東京高裁の判決が確定した。4回目と5回目の不起立に対し、減給10分の1・1月の処分を2回受けていた田中聡史さん(50歳)は処分を取り消されたが、「不起立の回数が増えると戒告から減給へと処分を重くする都教委の『回数加重処分』が認められなかったのはよかったです」と話した。

一方、、2003年に都教委が教職員に卒業式などでの君が代の起立斉唱などを命ずる通達を出して以来、毎年続いた処分が今年は確認されていないと報告された。

(永尾俊彦・ルポライター、2019年4月5日号)

 

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