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山口地裁岩国支部、伊方原発運転差し止め認めず 
「四国電力の言いなり決定」か

松田奈津子|2019年4月2日12:08PM

3月15日、山口地裁岩国支部は住民らの請求を退けた。(撮影/松田奈津子)

伊方原発運転差し止め仮処分の申請について山口地裁岩国支部(小野瀬昭裁判長)は3月15日、住民らの申立を退ける判断をした。「許されんじゃろが!」。裁判所前で支援者の怒りの声が上がった。

本件は四つの裁判所に係属していた伊方原発運転差し止め仮処分申請の最後の判断で、前の裁判長(病気により交替)は、小松正幸・愛媛大学元学長の証人尋問を採用するなど期待されていた。

決定は、住民らの主張についてほとんどまともに答えておらず、原子力災害のリスクや被害を踏まえて安全性を考えたとは到底思えない。離島に住む住民らが事故時に速やかに避難できないこともあることを認めながら、「全国規模のあらゆる支援が実施されることになっている」から安易に具体的危険はないと切り捨てた。申立人の橋本久男さんは、行政側が命をかけて守ってくれることはない、私たちを切り捨てるものだ、島の状況を見ていないと憤っている。

裁判所は小松元学長が指摘する「伊方原発直近に活断層がある可能性が高いこと」を具体的な理由も示さず否定。ボーリング調査をせず音波探査のみの四電の調査が不十分であるという指摘も否定した。住民らは学説の当否を求めているのではなく、複数の合理的な知見が存在するときに安全側に立って考えるべきなどと主張したが、裁判所は判断を示さなかった。

代理人で脱原発弁護団全国連絡会共同代表の河合弘之弁護士は報告集会で「裁判所がすべき司法審査を一切していない、四電の言いなり決定であると」断じた。中村覚弁護団事務局長は「残念な結果だが、決して屈することはない、本訴も含めて伊方が止まるまで闘い続ける」と決意を新たにした。

住民の申請を退けるには、このような不当な内容の決定とせざるを得ないほど、裁判所は追い込まれているのではないだろうか。

(松田奈津子・脱原発弁護団全国連絡会、2019年3月22日号)

 

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