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牛久入管収容外国人の窮状と「難民行政」の問題点

崎山勝功|2019年1月18日11:46AM

寸劇で外国人技能実習生が酷使されている場面を演じるクルド人の子どもたち。(撮影/崎山勝功)

茨城県牛久市の法務省東日本入国管理センター(牛久入管)に収容されている外国人への支援活動などを行なう同県つくば市の市民団体「牛久入管収容所問題を考える会」(牛久の会)が12月16日、同市吾妻のイノベーションプラザホールで「年間活動報告会&交流の集い」を開き、市民ら約80人に難民行政の問題点を訴えた。

集会では牛久入管の被収容者への面会活動をしている会員から「面会をしていると『誰々の仮放免がダメだった』との報告が来る」との証言や、今年4月13日のインド人被収容者男性(当時32歳)の自殺以降、被収容者の自殺未遂が増え、精神的に参った被収容者たちが「ここ(牛久入管)は人間の住むところじゃない」と面会者に窮状を訴える事例などが発表された。

埼玉県でクルド人家族の学習支援をしているボランティアは「クルドの子どもたちは、中学生になると(日本人から)いじめに遭ったり、勉強がついていけなくなり学校をドロップアウトする」との事例を挙げ、高校中退の20代のクルド人少女の「高校は辞めた。だって卒業しても就職できるか分からない」との声を紹介した。

トルコでのクルド人迫害から逃れるために、6年前に両親と一緒に家族8人で日本に難民申請した、クルド人のトゥンチュ・ウズベルさん(19歳・埼玉県)は、取材に対し「一番欲しいのはビザ。日本で生活できるビザが欲しい」と訴えた。

全国難民弁護団、クルド難民弁護団事務局長を務める大橋毅弁護士は講演で、外国人被収容者の仮放免申請許可が例年に比べ激減している現状に触れ「(活動してきた)20年間で今が最悪。仮放免条件違反ではなく、突然仮放免が打ち切られて収容される例がある」と訴えた。その上で大橋弁護士は「難民申請をしている人に対して『国家に対して好ましくない』というのはおかしい」と、入国管理局の対応を批判した。

牛久入管では11月20日から12月7日頃に被収容者たち約30人が長期収容への抗議と処遇改善を求めるハンガーストライキを行なうなど、処遇改善を求める動きが起きている。牛久の会によると、例年は200件以上の仮放免手続きをしていたが、今年は12月3日段階で42件と、仮放免許可数が例年の5分の1に激減したという。

牛久の会会員で短大講師の鶴田真二さん(37歳)は「外国人に対する扱い方を抜本的に変えないと、資格が変わっても同じこと」と、12月8日に成立した改正入管法を批判した。

【クルドの子どもらが寸劇】

集会では、日本で生活するクルド人難民の子どもたちが「排外主義」をテーマの寸劇を披露した。

寸劇では、日本に来た外国人技能実習生が最低賃金以下の給料で酷使されている様子や、難民申請した外国人が入管当局者から「何で難民なのにアンタを好きになる日本人がいるんだ」などの侮蔑的な言葉を浴びせられる場面が上演された。

寸劇の演出を担当した、難民支援ボランティアの織田朝日さん(45歳)は「(クルド人の)子どもたちに意見を聞いて、外国人技能実習生の問題と難民問題を取り入れた」と明かした。寸劇の脚本には実際にあった事例を取り入れており、織田さんは「結局日本に夢を持って来た人たちがこんなひどい目に遭っていることを伝えたかった」と話した。

寸劇の上演後に子どもたちは、将来の夢について「ケーキ屋さん」「警察官」「教師」「アイドル」などと発表した。9年前にトルコから家族で日本に難民申請した、小学6年生のチョウラク・ヘリィさん(12歳・埼玉県)は「将来はお医者さんになりたい。算数と理科の勉強を頑張りたい」と話した。

集会には『毎日新聞』や日本テレビなど報道各社が取材に訪れ、牛久の会の田中喜美子代表は「難民問題への関心が高まっているのは良いこと。今年は(難民にとって)最悪。この状況を打破するためにメディアの人には頑張ってほしい」と期待を寄せた。

(崎山勝功・「NEWSつくば」ライター、2018年12月21日号)

 

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