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小池都知事、今年も朝鮮人犠牲者追悼文を拒否

斉藤円華|2018年9月3日12:28PM

東京都の担当者(右)に署名を提出する
追悼式典実行委員会メンバー。(撮影/斉藤円華)

関東大震災でデマにより虐殺された朝鮮人犠牲者を追悼する式典に、小池百合子東京都知事が昨年から追悼文の送付を拒否している。これを受けて式典実行委員会が8日、追悼文の送付を求める署名約8600筆を都に提出した。

1923(大正12)年9月1日に起きた関東大震災では「朝鮮人が暴動を起こした」などのデマが流布。当時の自警団や警察、軍隊などによって多くの朝鮮人が殺された。虐殺への軍と警察の関与は国の中央防災会議が2008年にまとめた報告書で認定する一方、犠牲者数は1000人から数千人とみられ、現在も確定しない。

歴代都知事は1973年に犠牲者を追悼する碑が都立横網町公園(墨田区)内に建立されて以降、毎年9月1日の追悼式典に追悼文を寄せた。小池氏は送付を取りやめた理由について昨年、「(都慰霊協会主催の大法要で)都知事としてすべての犠牲者に追悼の意を表している」と説明した。

署名提出後の会見で式典実行委員長の宮川泰彦氏は2カ月半で当初目標の5000筆を上回った署名を集めたことを「反響が大きい」と評価。「災害で命を落とした人と、流言飛語で人の手により命が奪われたのは異なる。2020年の東京五輪を控え、平和や友好、安全にふさわしい東京に立ち戻ってほしい」と語った。

また、日朝協会東京都連合会の赤石英夫氏は「小池氏は都知事として『朝鮮人虐殺否定論』にくみした」「(署名の内)2000筆以上が在日韓国・朝鮮人から。(在日の人々の間で)日本に馴染んで生きたいと思っているのに、『今のままでは怖い』と不安が広がっている」などと訴えた。

都は来年施行予定の人権尊重条例案にヘイトスピーチ対策も盛り込むが、「それならば追悼文を送付するのが当然」と赤石氏。しかし小池氏は10日の会見で、今年も追悼文を送付しない意向を示した。

(斉藤円華・編集部、2018年8月24日号)

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