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名古屋城エレベーター非設置を決めた河村市長に抗議デモ

井澤宏明|2018年7月18日10:53AM

抗議のプラカードを掲げデモ行進する参加者たち。6月19日、名古屋市内。(撮影/井澤宏明)

名古屋城天守の「木造復元」計画。河村たかし名古屋市長は「史実に忠実な完全な復元」のためエレベーターを設置しない方針を5月末に正式発表したが、これに反発する動きは止む気配がない。

「絶対必要、エレベーター」「新たな差別を作るな」。6月19日、東京や大阪、沖縄など全国から集まった障がい者ら約600人が、名古屋の市街地で抗議デモを行なった。

「名古屋だけの問題ではない。こんなことが認められたら、他の観光地もバリアフリー化しなくていいことになりかねない」

出発前の集会では、車いすなどで駆け付けた参加者が、口々に危機感を訴えた。「ベビーカーや高齢者も大変な思いをする」と、障がい者だけの問題ではないことをアピールする声も上がった。沿道で見守った女性は「せっかくお金をかけて造っても上れないんじゃ、怒るのも当然」と共感を示した。

河村市長は、エレベーターに代わるバリアフリー策として「新技術」開発にこだわる。階段を上る車いす型ロボットや人を乗せるドローンなどを挙げ、バリアフリー担当特別秘書を外部から登用するなど開発に躍起だが、新天守完成予定の2022年末までに実現できるかどうかは不透明なままだ。

同13日には木造復元の許認可権を持つ文化庁を訪れ、エレベーターを設置しない方針を説明したが、同庁は「ちゃんと話し合っていただきたい。反対がたくさんあるようでは困る」(記念物課)。

市議会6月定例会では、避難階段を設置しない方針も明らかになった。施工業者からは当初、天守中央に耐火ガラスに囲われた避難階段を設ける提案があったが、有識者会議で「史実に忠実ではない」と指摘され取りやめたという。

計画によると、新天守の階段の勾配は最大約55度、幅は狭いところで1メートル余り。市議会では、「はしごのようなものだ」と緊急時の避難を危ぶむ声も出ている。

(井澤宏明・ジャーナリスト、2018年7月6日号)

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