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東京オリンピック理由に外国人の強制収容増加
各地で入管問題に抗議

崎山勝功|2018年7月13日12:12PM

東京入管前で、抗議するクルド人女性。弟らが東京と牛久に収容されている。(撮影/織田朝日)

難民認定率が世界最下位の「難民鎖国」日本では、数年前から法務省入国管理局が「入管が目指す2020」と称して、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて収容制度の運用を強化している。「長期収容を回避」するとした10年からの方針が15年に取り消され、仮放免者(収容を一時的に解かれた人)の動静の「監視強化」が謳われる中で、長期収容や再収容される人が増加。昨年には全国の入管で被収容者による自傷行為が44件も発生するなど、人道上の問題が深刻だ。

「収容やめろ」「家族を返せ」「友達返せ」。6月20日の「世界難民の日」を前にした16日、移民・難民の支援団体SYI(収容者友人有志一同)の呼びかけで、約60人が品川の東京入国管理局前に集まった。人々がスピーカーで抗議と被収容者への激励の言葉を投げかけると、収容施設内からは時折、「ありがとう!」と声が返ってきた。

SYIによると、被収容者からは、異物混入や腐敗などの劣悪な給食や、職員による暴言や過剰な暴力など劣悪な収容環境を告発する証言が複数寄せられている。また、実際に、複数の入管職員が「東京オリンピックが近いので収容を強化している」と発言をしていることも、確認できているという。最近は突然、「職員個人に対する誹謗中傷侮辱行為」などを禁じると記した東京入管“限定”の禁止事項が面会受け付けに張り出されたともいい、法的根拠も不明な対応が常態化している様子がうかがえる。

6月24日に東京都内で「クルド人難民Mさんを支援する会」が行なったトークイベントでは行政書士の熊澤新さんが「収容することでプレッシャーをかけ、帰国を促すケースが増えている」と指摘。「母国で拘禁や拷問されたトラウマを持つ人もいる。そうした人を収容するのは過酷なことだ」と、警鐘も鳴らした。医療環境も劣悪で、常勤医師は不在の上、痛みなどを訴えてもすぐ病院に行くこともできない。昨年4カ月ほど東京入管に収容されたクルド人男性のMさんは、「病院に連れて行ってもらえても、病院内で手錠をされる。すごく恥ずかしい。私がそんなに悪いことをしたのか」と訴えた。

被収容者の家族も複雑だ。SYIの織田朝日さんは「残された家族の痛みも大きい」とし、6月18~20日に写真展「子供達の笑顔を守りたい」を都内で開催した。写真は、入管に面会や抗議にきた家族の様子、子どもたちの日常生活などだ。「収容を解かれても、いまだに収容されている夢を見るという話も聞く。またいつ収容されるかわからないとの不安もつきまとい、苦しみは続く」ともした。

大阪でも収容問題は深刻で、6月5日、複数の支援団体が大阪入管に長期収容を回避するよう申し入れた。申し入れ書によると、半年以上の長期収容は、大阪入管では全体の約40%に上り、中には2~3年以上(約5%)の人もいる。東京入管でも半年以上は約30%に上る。暴力の問題も同様にあり、5月29日には、大阪入管職員に右腕を骨折させられたとして、トルコ人男性が大阪地裁に国賠訴訟を起こした。「仮放免者の会」の永井伸和さんは、「これは氷山の一角で、暴力を受けたという話は頻繁に耳にする」と話している。

(本誌取材班)

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