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袴田事件、弁護団が最高裁へ特別抗告
「印象操作でDNA鑑定否定」

小石勝朗|2018年7月11日6:51PM

特別抗告後に記者会見する弁護団。高裁決定への激しい批判が続いた。(撮影/小石勝朗)

1966年に静岡県で一家4人が殺害された「袴田事件」で、死刑が確定した元プロボクサー袴田巖さん(82歳)に対し、静岡地裁の再審開始決定を覆し再審請求を棄却した東京高裁決定を不服として、袴田さんの弁護団は6月18日、最高裁へ特別抗告した。

高裁決定は、皮脂や唾液などが混じった血痕から血液のDNAを取り出す本田克也・筑波大学教授の選択的抽出方法の有効性を否定。再審開始決定が拠り所とした本田氏による「5点の衣類」の鑑定結果に信用性を認めなかった。

これに対し弁護団は申立書で、5点の衣類の鑑定で選択的抽出方法は補足的な手順だったと強調し、高裁決定が「選択的抽出方法に対する批判を足がかりとして、本田氏個人の資質や本田鑑定のデータに疑問や不信があるかのごとき印象操作を行ない、結果的に鑑定全体の信用性を貶めようとするもので、著しく不当だ」と反発。「科学的な証拠が示した結果に対する評価の姿勢として、根本的な誤りを犯した」と非難した。

5点の衣類などの捏造の疑いを高裁が「抽象的な可能性」としたことについても、「弁護側が具体的に捏造のプロセスを主張・立証せよ」と言うに等しく「疑わしきは被告人の利益に」との刑事裁判の鉄則に反する、と批判した。

その上で高裁決定が、(1)個々の新証拠を短絡的に否定するだけで、旧証拠と合わせると犯罪事実に疑いが生じないかの「総合評価」をしていない(2)弁護団に反対尋問や反証の機会を与えず、結審間際に検察が出した学者の意見書を無条件に採用した――として憲法や判例に違反すると主張した。

「大島隆明裁判長らに『無実の者を死刑にするかもしれない』という怖れが決定的に欠如していた」とも指摘している。

西嶋勝彦・弁護団長は記者会見で「あまりに憲法と再審法理を無視した決定だ」と力を込めた。

(小石勝朗・ジャーナリスト、2018年6月29日号)

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