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西宮・新市長、選挙公約違反か
被災者「追い出し」方針を通告

たどころあきはる|2018年7月10日11:32AM

抗議の記者会見を行なう弁護団、支援者ら=6月13日、西宮市役所。(撮影/たどころあきはる)

震災復興借り上げ公営住宅からの住民「追い出し」訴訟が社会問題化している兵庫県西宮市で、今年4月に就任した石井登志郎市長が、6月7日の入居者面談での「継続入居で早期解決」の前言を13日に突如として翻し、「シティハイツ西宮北口」住民に「転居以外に解決なし」の方針を直接通告するなど「公約違反」の言動で新たな混乱を巻き起こしている。

石井市長は、取材記者への「殺すぞ」暴言などによる前市長の辞任に伴う今春の選挙で当選。公開質問状には、「訴訟自体が不幸で残念なこと。取り下げで継続入居を基本に、早期円満解決を」の趣旨で回答し、入居者との面談でも「住民に寄り添う」姿勢を鮮明に打ち出していた。それだけに「嬉しがらせて、泣かせての罪は、2016年に転居拒否の7世帯10人を提訴した前市長よりも重い」「期待を持たせて住民を奈落の底に突き落とした」「明白な公約違反に断固抗議する」など、住民への裏切りに対する批判は凄まじい。

石井市長はこれまで、「すでに転居した住民との公平性」については、自ら「完全な公平性は相当に困難だが、必要なら会って話をする」「さまざまな評価や批判を含めて判断し、評価されるのが政治家であり、トップたる市長の使命」などとして、早期解決に強い意欲を見せていた。それだけに「任務放棄」「無責任」との強い批判の声が上がっている。

弁護団は6月13日、「『被災者追い出し裁判』に反対し、入居者の『コミュニティ』と『健康で平穏な生活』を求める声明」を発出。西宮市政記者クラブで怒りの緊急抗議会見を行なった。弁護団と支援者は「今、市長に求められているのは従前の政策との公平ではなく、憲法を遵守する姿勢である」などと強調。「今後もあらゆる手段を通じ、全国の多くの支援者とともに、入居者全員の『終の住処』を求めて闘っていく」と訴えた。

(たどころあきはる・ジャーナリスト、2018年6月29日号)

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