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第一生命が海外石炭火力発電に投資しない理由

平井康嗣|2018年5月21日6:54AM

社会課題と資本主義

 

<質問1> 海外石炭火力発電に係るプロジェクトファイナンスから撤退した理由は。

 

第一生命 パリ協定やSDGsにおいて地球温暖化への対応が喫緊の課題として掲げられており、機関投資家としての社会的責任を果たす観点から、このような対応を実施しているほか、再生可能エネルギー普及に繋がるような国内外のプロジェクトファイナンス(太陽光発電、風力発電等)に積極的に取り組んでいます。

 

<質問2>これまでの投資実績は。

 

第一生命 これまで、石炭火力発電関連のプロジェクトファイナンスへの投資実績は国内外ともにございません。

 

<質問3>インパクト投資との関係は。

 

第一生命 当社は運用収益の獲得と社会的インパクトの創出(社会の構造変化等)の両立を意図して投資判断を行う投資手法であるインパクト投資を推進しておりますが、本件はこれと直接的な関係はございません。

 

以上が第一生命からの回答である。

 

あらためて第一生命広報部に内容を確認すると、そもそも石炭火力発電関連プロジェクトには投資をしたことがなく、今後は上記のような理由から投資はしないということであった。SDGs(持続可能な開発目標)は政府期間やNGOだけでなく、グローバル企業も企業活動の上で意識するようになってきている。

インパクト投資案件について說明する第一生命(同社HPより)

また、第一生命は近年注目されているインパクト投資も2017年度より実施している。インパクト投資は、社会課題の解決を目指すが、CSR(企業の社会的責任)とは異なり、非上場企業に投資し収益も目指す、あくまでも長期的な視点を持つ株主利益を意識した投資活動である。

同社発表資料によると、現在、第一生命のインパクト投資案件は4件。投資規模は1億~10億円の規模である。このインパクト投資と石炭火力発電投資が表裏の関係にあるのか確認するため質問をさせてもらったが、「直接的な関係」はないという回答だった。

第一生命に限らず、企業の投資活動は環境問題だけでなく社会課題も意識するように変化してきている。社会的起業の多様化、増加の傾向に伴い、投資対象も増えてきていることなのだろうが、プレゼンのうまいスタートアップ(起業)屋も少なくないとも聞く。

これまでのように企業が公益財団などで社会還元をするというイデオロギー的な視点に囚われず、資本主義が社会課題解決をする必要性がある時代へ変化しつつある点をいかに考えるかということも必要だろう。

 

*最後の文章が「ということこと」となっておりましたので「ということ」に訂正しました。

 

 

 

 

 

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