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岐阜県警が企業に個人情報提供
住民怒りの追加提訴

井澤宏明|2018年5月18日11:36AM

4月16日、横断幕を持って岐阜地裁に入る近藤さん(右)ら原告団。(撮影/井澤宏明)

岐阜県大垣市内の風力発電施設建設を巡って、住民の個人情報を岐阜県警大垣署が集め、中部電力子会社「シーテック」に伝えていた事件。住民4人は今年に入って、新たに国と県を相手取り、収集された個人情報の抹消を求める追加提訴を行ない4月16日、第1回口頭弁論が岐阜地裁で開かれた。

この事件では、プライバシーや表現の自由が侵害されたとして住民が県を相手に起こした国家賠償請求訴訟が係争中。追加提訴は、収集された個人情報が警察組織内に存在し続ける限り人権侵害が続く恐れがあるとして提起された。

原告側は、情報収集の対象者は公安警察活動にとって必要と認められる者に限られるべきで、原告らが調査対象にされる理由はないから、「原告らの個人情報を収集、保有、利用することは違法」と主張。憲法が保障する人格権を侵害するとして県警と警察庁が保有する個人情報の抹消を求めている。

これに対し国は、「抹消を求める対象が何であるのかが特定されていない」として訴えの却下を求め、県は「一般論として」と断りながらも、「県警の情報収集活動は適法。取得が適法であれば保有も適法だ」として請求の棄却を求めた。

意見陳述した原告の近藤ゆり子さん(68歳)は、自身が環境問題などの市民運動に携わってきたことを説明しながら、「この社会にはまだ多くの不条理があり、見て見ぬふりは私には苦痛。だから裁判を起こしたりデモや集会を企画したりしている。すべて憲法で保障されていることで、誰にも邪魔されたくはありません」と訴えた。

昨年、原告弁護団に新たに加わった公安警察の情報問題の専門家、清水勉弁護士(東京)は追加提訴の意義について、「個人情報は取られてしまったら我慢するしかない、ではなく、違法に収集、保管、利用されたものは、市民の権利として抹消できる、という問題提起になる」と位置付けている。

(井澤宏明・ジャーナリスト、2018年4月27日号)

 

「警察と個人情報」関連記事:

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