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「ニュース女子」問題でBPO決定
辛淑玉さんの名誉毀損認定

西村仁美|2018年3月29日5:04PM

「MXは罪が深い」などと語る辛淑玉さん=3月8日。(撮影/西村仁美)

BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送人権委員会は3月8日、東京メトロポリタンテレビジョン(株)(以下、MXテレビ)の番組「ニュース女子」の沖縄基地反対運動特集(2017年1月2日と9日放送)の内容に、「名誉毀損の人権侵害があったと判断した」との委員会決定を公表した。

在日コリアン3世で「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉さん(59歳)に対し、同番組の中で、沖縄での基地建設反対運動参加者を「テロリスト」呼ばわりし、虚偽の事実を前提に、運動の「黒幕」が辛さんであり、人々に日当を支払い、職業的に運動をやっているなどと、ことさらに出自を強調しつつ重ねて虚偽の情報を流した。

今回のBPOの決定を受け、同日夕方、東京都内で行なわれた記者会見で、辛さんは民族差別にも踏み込んだその内容を高く評価。時折り頬を紅潮させ涙ぐみながら、「MXのやったことは、罪が深いです。いままでネットの中にあったデマを、保険を付け社会に飛び立たせました」「(変えることのできない)私の出自で、しかも全部デマで、それで沖縄を叩かないでほしい」などと語った。

MXテレビは、3月いっぱいで同番組の放送を打ち切ることを公表している。

だが、「ニュース女子」は、DHCテレビジョンによる持ち込み番組であり、引き続き地方局や衛星放送などでは放送が継続される。

何より深刻なのは、その制作元の同社が、自社HPで冒頭の「名誉毀損」番組をいまだに「放送」し続けているということだ。これら放送の影響で、辛さんは日常生活を奪われ、実質的に“亡命”を余儀なくされた。

MXテレビ編成部広報担当者は、BPOへの報告書の中身や、放送の中でも名誉回復や謝罪などを検討していると回答。

辛さんの代理人の弁護士らは、今後のMXテレビの動きによっては、司法の場に舞台を移さざるを得ないなどと話した。

(西村仁美・ルポライター)

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