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メールへのお返事(小室等)

2018年2月8日2:38PM

僕の事務所のサイトに、四〇年以上前のFM東京時代の僕の「音楽夜話」を聴き、僕のアルバムはすべて持っているという方からメールが届いた。

東京MXテレビで昨年一月二日にオンエアされた、沖縄基地反対運動を揶揄する番組「ニュース女子」の事の顛末の問題が、今まで小室が続けてきた反戦や社会問題へのアプローチとあまりにもかけ離れていて戸惑っているという内容で、同局で僕がやっている「新音楽夜話」を評価しているだけに、MXで放送されていることがどうにも引っかかると言い、〈小室さん御自身もジレンマがあると思いますし、永さんが健在だったらどう言っただろうとも思います〉とも。

永さんがいたら何と言ったかしら。もしも永さんがMXで番組を持っていたとしたら、「ぼく辞める!」って、即辞めていたかもしれないな。でも永さんの場合のそれは、大所高所からの正義感よりも、辛淑玉さんに対する友情の表れとしての行動だな、きっと。

それにしてもたしかにひどい番組でしたね。くわしくは本誌昨年三月二四日号にある。制作子会社の恣意的捏造も驚かされたけど、司会およびコメンテーター諸氏の無責任発言には驚かされた、というより呆れ果てましたが、そういうおまえが同じテレビ局で番組を持ち続けているのじゃ矜持が保ててないでしょというご指摘。

でもね、基本、恥ずかしいことなんですよ、日本のメディアで仕事するって。

そして僕。そもそも矜持の持ち合わせなどなく、一例を挙げれば、マイナンバー制度って嫌な感じだと思って、僕はカードの登録をいまだに済ませてないのだが、登録しないままでどこまでやれるのか、ま、やれるとこまでやってみよう、なんかホイホイと言いなりになるのもしゃくだし、っていう感じ。その程度の生き方。

旧日本軍による「慰安婦」制度を裁く女性国際戦犯法廷を紹介したNHKテレビのドキュメンタリー番組が、政治家による圧力を受けて改変された事件。それを元にした芝居「白い花を隠す」(Pカンパニー)をこの欄で紹介したとき、「作品が含む問題は重層的。(『慰安婦』、組織、家族、表現の自由、自主規制、同調圧力、メディア、政治介入、公平中立……)。どの問題もすべて僕自身に突きつけられている(略)現に、いま僕がホストの番組のテレビ局は東京MX。今まさに、重層された問題が僕に突きつけられている」と書いた。

その番組「小室等の新音楽夜話」は、今も続けている。なぜか。尊敬できるスタッフとの、楽しくてやりがいのある仕事だから。

(こむろ ひとし・シンガーソングライター、2018年1月26日号)

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