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ここがへんだよ「生活保護のしおり」  全国規模での調査必要

2017年10月26日12:16PM

神奈川県生活援護課(左)に要望書を提出する生活保護問題対策全国会議のメンバー。(写真/斉藤円華)

「生活保護のしおりは、制度を住民に説明する『窓口』だ。しかし間違った記述が見過ごされている」。生活保護問題対策全国会議(尾藤廣喜・代表幹事)が10月6日に神奈川県庁を訪れ、県に福祉事務所への監査を見直すよう申し入れた。

「生活保護なめんな」ジャンパー問題(本誌2017年2月3日号参照)が発覚した神奈川県小田原市は、「県の監査では高く評価されていた」(尾藤氏)。後に市では「生活保護行政のあり方検討会」が発足し、生活保護のしおりも「生活保護より扶養義務が優先」など、誤解を招きやすい記述が大幅に改められた。

これを受けて会議では8月、神奈川県と県下自治体のしおりを収集し、チェックポイントを設けて問題点を探った。

すると、制度が掲げる「自立の助長」の記述では、多くの自治体で、日常あるいは社会生活での自立をも生活保護を利用しながら追求する点が触れられず、「経済的自立の助長」だけにとどまっていた。このほか、排気量125cc未満のバイクは資産として原則保有できるのに明記されないなど、不備が目立った。

小久保哲郎事務局長は「全国の自治体が小田原市と同じ問題を抱えている」と述べ、元福祉職員の田川英信氏は「職員も最初にしおりで制度を学ぶ。誤った記述を正せば現場の改善が進む」と訴えた。

会議ではチェックポイント項目を公開し、全国規模での調査を呼び掛けている。

(斉藤円華・ジャーナリスト、10月13日号)

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