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緊急対談 
衆院選で問われる日本政治の新しい対決軸、
リベラル陣営のリアリズムとは
(山下芳生×中島岳志)

2017年10月14日4:40PM

衆院選の投票日が刻々と迫る。「安倍vs.小池」の対決構図が作られる中で、従来の「保守vs.革新」という枠組みは崩壊した。リベラル陣営は「野党共闘」を進め、日本の政治の対決軸は新しい構図となったが、保守と共産党は主張を同じくできるのか。リベラル陣営の一翼を担う共産党に、保守思想に基づく本来の保守を唱える中島岳志『週刊金曜日』編集委員が、とことん意見を付き合わせた。

 

中島 岳志
なかじま たけし・東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授、『週刊金曜日』編集委員。1975年、大阪府生まれ。ヒンディー語専攻。インド政治や近代日本の思想史を研究。著書に『中村屋のボース インド独立運動と近代日本のアジア主義』(2005年、白水社)、『「リベラル保守」宣言』(13年、新潮社)、『アジア主義 その先の近代へ』(14年、潮出版社)、『親鸞と日本主義』(17年、新潮選書)など。

中島 私はこれまで、保守思想に基づいての思考や議論をしてきましたが、今の自民党をはじめ日本で「保守」を掲げる人たちには強い疑念を持っています。これは従来の「保守vs.革新」という枠組みが崩れているからで、衆院選を前に、その枠組みを見直す必要があると思っています。

保守の立場から自分自身の話をすると、私は今まで共産党に投票したことはありません。けれど、自民党を選択する可能性はどんどんなくなっていて、このところは民進党をさまざまな面からサポートしてきました。この中でここ数年間、面白い現象が起きています。新聞社などがやっている、自分の考えと各政党のマニフェストとの相性診断をしてみると、どれをやっても結果は共産党になるんです。保守の論理を追求すると、内政面では共産党の政策と近くなる。

山下 芳生
やました よしき・共産党副委員長。1960年、香川県生まれ。大学卒業後、大阪かわち市民生協に勤務。95年、参院大阪選挙区に35歳で初当選。2001年には「党リストラ反対・雇用を守る闘争本部事務局長」となり、全国の職場・地域を巡る。07年に6年ぶりに参院議員に再選し、13年に3選。14年党書記局長、16年副委員長に就任した。モットーは「あったかい人間の連帯を国の政治に」。

山下 今のお話で思い出したのは、2015年10月の宮城県議選で、“保守の地盤”といわれた大崎市選挙区において初めて共産党の県会議員が当選した時のことです。勝利できたのは、JA(農業協同組合)の県中央会の会長やその地域の元首長、議会の議長など保守の方々が本気で応援してくれたからです。

この年の9月に安倍政権は安保法案を強行採決し、さらにTPP(環太平洋連携協定)へとまっしぐらに向かおうとしていて、みなこれに怒っていた。中島さんが政党との相性診断で共産党に行きつくというのも特別なことではなく、安倍政権の暴走によって、保守を自任し、地域の絆を大切にしてきた方々がさまざまなところで立ち上がっている。

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