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教職員の多忙化要因は東京五輪? 東京都「働き方」改革で反省なし

2017年10月5日12:15PM

東京都は8月24日、小池百合子知事になり4回目の総合教育会議(教育への首長関与強化の地方教育行政法改定で全自治体に設置義務化)を、小学校教員の「働き方改革」を議題に開催。中井敬三教育長が「全国の教員の悩み」(ベネッセ教育総合研究所2016年調査)で、「教材準備の時間が十分に取れない」が90・5%。「作成しなければならない事務書類が多い」は84・9%に上ると報告した。

一方、文部科学省が8月29日に出した「学校における働き方改革に係る緊急提言」は、1カ月間に全国の教委が学校に調査・報告依頼を求めた件数が「都道府県で46・8%、政令市で60・0%、市区町村で26・4%」で30件以上に上る(本年3月実施)とし、調査・指示等の「精選及び合理化・適正化を進めること」と明記する。

しかし、都教委は“君が代”不起立について、教職員に加え生徒の状況まで、都立学校や区市町村教委に報告させ、今春の卒業式では小池氏自身が全都立学校に祝電をメールし、掲示するなどして紹介するよう指示。「職員会議での挙手・採決」でも、文科省調査に屋上屋を重ねる調査を学校現場に要求。多忙化の原因を自ら創出しているのだが、24日の会議でそうした点への言及はゼロ。また、筆者が都内小中高・特別支援学校の教職員約30人に取材すると、ほぼ全員が研修会後の報告書作成や、都教委が年35時間、授業を義務づけたオリンピック・パラリンピック教育などが「負担」と訴えている。

会議では、小学校の校長と教員2名が「3時~5時台は保護者対応で電話が不通。低学年の担任は児童が帰るまでトイレに行けないことがある」などと現場の厳しさを訴えたが、教育委員との意見交換では「電話はコールセンター的なものを作る。欠席連絡は留守電設置で」など対処療法に留まった。

教職員の多忙化解消に必須なのは、都教委の姿勢の抜本的改革だ。

(永野厚男・教育ジャーナリスト、9月22日号)

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