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アスベスト(石綿)被害防ごうと9月16日に兵庫・西宮でシンポ開催

2017年9月15日11:48AM

アスベスト(石綿)が大量に使われた建物の多くが解体時期に入り、いい加減な解体業者などが危険な石綿を飛散させて問題化する中、さいたま市、大阪府堺市、兵庫県西宮市の市民が連携し、行政に頼らず被害を防ごうと「アスベスト市民ネット」を立ち上げた。

防音、耐熱性などに優れた石綿は2006年に輸入や使用が禁止されたが、古いマンションなどには建材として多く残る。解体には、建物をすべて覆い気圧差で飛散を防ぐ規則などが設けられたが遵守しない業者が多い。災害時の建物の倒壊での飛散も指摘される。

西宮市では、13年に夙川学院短期大学の校舎が解体された際に石綿が大量に飛散していたとして昨年7月、周辺住民が同市、解体業者、開発業者に対して慰謝料を求める損害賠償請求を起こした。健康被害が出ていない段階からの「中皮腫や肺がんになるかもしれない」という将来不安をめぐる訴訟で注目される。

神戸地裁では8月22日にも口頭弁論があり、閉廷後に会見した原告団長の医師上田進久氏は、「建物の解体は作業員だけが危険にさらされると思っている人が多く、実は周辺の住民にも危険が及んでいるという認識が一般市民にまだ少ない」と懸念する。

市民ネットの代表は「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」(東京都江東区)の永倉冬史事務局長が務める。永倉氏は「石綿のリスクを少しでも減らす取り組みを市民主体で進めていきたい」と話す。

シンポジウム(無料)は9月16日午後1時半から、西宮市羽衣町の夙川公民館で3市の代表などが現状を報告する。上田氏、永倉氏の他、12年に中皮腫で亡くなった直木賞作家、藤本義一氏の長女の中田有子さんや「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」の古川和子代表らも登壇、石綿の危険を学び、飛散させないよう業者や行政にいかに促すかなどを議論する。

(粟野仁雄・ジャーナリスト、9月1日号)

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