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たばこ議連に所属する自民党国会議員の「禁煙」審議は条約違反か

2017年8月14日10:58AM

日本禁煙学会(作田学・理事長)は7月17日、屋内禁煙強化のため、厚生労働省案通りの健康増進法改正案を閣議決定し、次期国会に提出するよう求める要望書を安倍晋三首相に提出した。

要望書によると、小規模店を除き「屋内禁煙を原則とする」厚労省案は、内閣官房に設置された関係省庁による検討チームの議論を経て策定されたもので、政府案にするのにふさわしい(本誌4月21日号)。

ところが、先の国会では法案の提出が見送られた。自民党内に「たばこ議員連盟」(会長=野田毅、前党税制調査会長)に所属する強硬な反対派がいて、まとまらず、政調会長代理が「150平方メートル以下の飲食店は、店頭に『喫煙』か『分煙』かを表示すれば喫煙を認める」との修正案を作成して、厚労省案に対置したためだ。

こうした党内での議論は非公開で行なわれており、首相は事態を静観するだけだった。

自民党内の審議機関の構成をみると、政務調査会の厚労部会は16人中4人、政調役員は16人中10人、総務会は25人中11人、幹事長組織は27人中6人(いずれも、少なくとも)がたばこ議連所属だ。これらの議員はタバコ業界から献金・パーティ券購入などの便益を受けている。

日本も批准している「タバコ規制枠組み条約」は、タバコ産業の利益のために働く団体は、タバコ規制を立案・実施する政府機関・協議会・諮問委員会の構成員として認めるべきではない、と定めており、自民党内の審議はこの条項に違反している可能性が大きい。

こうした実態を踏まえて要望書は、(1)健康増進法改正案の審議には利益相反のある議員の出席を認めない、(2)部会や政調では密室審議をやめる、(3)政府提出法案は政調の部会→政調会→総務会での合意を経た後に閣議決定するという慣行は廃止することも求めている。

(岡田幹治・ライター、7月28日号)

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