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名鉄が夜行バスにアロマ噴霧サービス 「香害」に苦しむ化学物質過敏症の患者らが公開質問書

加藤やすこ|2017年3月8日12:16PM

愛知県を中心に運行する名鉄バスは、昨年11月に導入した新型夜行バス3路線で、乗車ドア開閉時に天然アロマを噴霧するサービスを開始した。

これに対し、化学物質過敏症(CS)の患者会「化学物質過敏症あいちReの会」代表の藤井淑枝さん(59歳)は、この2月14日、同社に公開質問書を提出した。

名鉄バスによると「一瞬香るだけで車内に充満するものではない」というが、CS患者にとっては、瞬間的な、ごく微量の暴露であっても頭痛や吐き気、めまいなどを引き起こす原因になる。

公開質問書では、生理中の女性や妊婦も香りに敏感になり体調不良を起こす可能性があること、香料自体が嫌いな人がいることにも言及し、乗客が体調悪化をきたした場合の対応や、乗車希望者が事前に伝えればアロマの使用をやめるかどうかなどを尋ね、2月末までに回答するよう求めている。

名鉄バスは、高速バスと一般の路線バスを含める全便で車内Wi-Fiを実施しているが、電磁波で体調を崩す電磁波過敏症(ES)患者の有病率は3・0~5・7%で、ES患者の約8割はCSやシックハウス症候群も併発しているという報告もある。併発した患者がアロマと電磁波に被曝し、重い症状が出る可能性もある。

同会は、乗客から要請があればWi-Fiを切るほか、他の乗客に携帯電話やスマートフォンを機内モードにするよう呼びかけるかどうかも質問した。

公開質問書には化学物質問題などに取り組む全国の市民団体32団体、個人73人が賛同しているが「賛同した個人のうち約3分の1は、健常者やCS以外の病気を抱えている人たち。CSでなくても香料を避けたいと思っている人は少なくない」と藤井さん。

名鉄バスは「今のところ体調不良の訴えはない。質問書の内容を確認して対応を考えたい」と述べている。

(加藤やすこ・ジャーナリスト、2月24日号)

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