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埼玉朝鮮学園、補助金不支給問題で、全国初――弁護士会が県に「警告」

2015年12月17日4:47PM

埼玉弁護士会記者会見の様子。11月25日、埼玉県内にて。(撮影/金宥羅)

埼玉弁護士会記者会見の様子。11月25日、埼玉県内にて。(撮影/金宥羅)

11月25日、2010年度から埼玉県が埼玉朝鮮学園に対し補助金の支給を中止している問題で、埼玉弁護士会(石河秀夫会長)が県の上田清司知事に対し「人権侵犯救済申立事件に関する決定(警告)」を出した。

県は、同校に1982年~2009年度まで補助金を支給してきたが、10年~12年度は「財務の健全性に問題がある」として支給を凍結。13年度以降は「拉致問題・ミサイル発射問題・核実験問題」なども理由にし、予算計上を行なわなかった。

弁護士会は県の補助金不支給に対し、▼すでに学園の財務の健全性の回復がなされている▼拉致問題等の解決と補助金不交付における目的と手段の間に合理的関連性がない、ことを挙げ、日本国憲法14条1項(平等原則)に違反するだけではなく、県が積極的に差別を助長しかねない極めて重大な人権侵害であるとし、人権侵犯救済申立事件における「警告」の理由とした。

人権侵犯救済申立事件では弁護士会の判断で要望、勧告、警告という形がとられるが、「警告」は一番厳しい意見表明として位置づけられており、朝鮮学校への補助金不支給問題でこの決定が下されるのは全国初となる。

これは13年4月に同校からの申立を受けた、弁護士会の人権擁護委員会の調査に基づき発せられたもの。人権擁護委員会の平原興委員長は記者会見で「今回の問題の本質は、合理的関係性のない問題と朝鮮学校を結びつけて支給しないという県の制限理由にあり、積極的に差別を是正すべき行政の責務を果たしていない」と指摘した。

また、同校の高石典校長は今回の弁護士会の決定を「学園と関係者の5年間にわたる補助金再支給を求める活動の正当性を裏づけるものだ」と歓迎し、「この決定を学校関係者及び支援者、国際社会に向け拡散し、子どもたちの教育の権利を守っていきたい」と語った。

(金宥羅・『朝鮮新報』記者、12月4日号)

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