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防衛装備庁発足で加速化する――官民あげての武器輸出

2015年10月23日5:22PM

防衛装備庁発足で武器輸出加速に抗議する市民。(10月1日、東京・新宿。撮影/満田夏花)

防衛装備庁発足で武器輸出加速に抗議する市民。(10月1日、東京・新宿。撮影/満田夏花)

10月1日、防衛装備庁が発足した。武器の研究開発から調達、輸出までを所管する防衛省の外局。1800人体制での発足。年間2兆円近い予算を扱う一大組織だ。

以前から、安倍首相は、ロシアや東欧の外遊に、三菱重工や川崎重工などの関係者を同行させ、積極的な武器のセールスを繰り広げていた。昨年4月には、武器輸出三原則を撤廃。「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。これにより原則禁止していた武器の輸出を解禁。この直後、昨年6月に行なわれた世界最大規模の武器見本市には、三菱重工、東芝、NEC、日立製作所、川崎重工、富士通など日本の防衛産業が「日本パビリオン」を設けて本格的に参加した。音頭を取ったのは防衛省だった。同省はまた、エンジン開発やロボット、無人車両技術などの軍事関係を進めるため、研究費を大学や研究機関に支給。年間の支給額は1件あたり最大3千万円という。

武器購入資金を低金利で貸し出す軍事版ODA(政府開発援助)の創設や、民間の保険ではカバーできない武器輸出に伴うリスクを、NEXI(日本貿易保険)による公的な保険の適用で支援する案なども検討。官民あげた武器輸出推進の動きが加速化している。

しかし、これは国民の声とは乖離している。共同通信が昨年3月に行なった世論調査では、武器や関連技術の輸出を原則的に禁じる「武器輸出三原則」緩和への反対は66・8%に上り、賛成の25・7%を圧倒的に上回っている。

発足の日、50人以上の市民が、防衛省前で抗議の声を上げた。「武器を売るな、武器を買うな」「死の商人に税金渡すな」――。ある国際協力の関係者は、ガザに住む彼女の友人の一家が虐殺された様を声をつまらせて物語った。参加者の一人は「どんなにきれいな言葉で飾っても、武器は人を殺すもの。私たちの税金を人殺しに使わないで」と怒りの声を上げた。

(満田夏花・FoE Japan、10月9日号)

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