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“戦後70年”を迎えた終戦記念日の喧噪――日本会議が占拠した夏の靖国

2015年9月1日10:35AM

日本会議系の集会で登壇した兼次映利加氏。(写真/内原英聡)

日本会議系の集会で登壇した兼次映利加氏。(写真/内原英聡)

昭和天皇の玉音放送から70年の8月15日。日本武道館(東京・千代田区)で開かれた政府主催の全国戦没者追悼式において、天皇は「さきの大戦に対する深い反省」との文言を初めて発言した。会場に近接する「靖国神社」には約19万人が参拝。同社広報課は「昨年比で約2万人の増加」という。

安倍晋三首相は参拝こそ見送ったが、自民党総裁として私費で玉串料を奉納した(名代は萩生田光一総裁特別補佐)。この他に閣僚は、有村治子女性活躍相、高市早苗総務相、山谷えり子拉致問題担当相が参拝。稲田朋美政調会長や小泉進次郎復興政務官、古屋圭司前拉致問題担当相らも訪れた。

超党派でつくる「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」(会長=尾辻秀久・前日本遺族会会長)からは、羽田雄一郎参院議員(民主)、平沼赳夫参院議員(次世代)ら衆参両院議員67人が参加した。

靖国境内の参道特設ステージでは午前10時過ぎから「第二十九回戦歿者追悼中央国民集会」が開かれた。国内最大の“右派”組織「日本会議」と、「英霊にこたえる会」の共催で「恒例行事」(広報課)という。稲田議員が提言を行ない、ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、「もはや謝罪は必要ありません」、「戦後70年の流れを変えなければならない。安倍談話がこれを変える大きなきっかけになるだろう」などと述べ、「安保法制の実現」と「憲法改正」を訴えた。午後は「終戦70年 若人の集い」が開かれ、KAZUYA氏(動画製作者)や兼次映利加氏(沖縄出身のライター)など“若手保守”が登壇した。

午後4時過ぎ、九段下交差点付近には昨年と同様の光景が広がった。無数の市民と警視庁機動隊で周辺は埋め尽くされ、「日の丸」がなびいた。およそ10団体からなる反天連など(「戦後レジーム」の70年を問う7・8月行動実行委員会)のデモ行進妨害を目的として在特会(在日特権を許さない市民の会)らが集った。彼らは機動隊との“衝突”に終始した。

こうした喧噪の一方で、近隣の千鳥ヶ淵戦没者墓苑では市民グループ「フォーラム平和・人権・環境」主催の集会が開かれた。国会議員としては近藤昭一衆院議員(民主)、吉田忠智参院議員(社民)らが参列。SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)メンバーなど若者の姿もあった。

(内原英聡・編集部、8月21日号)

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