考えるタネがここにある

週刊金曜日オンライン

  • YouTube
  • Twitter
  • Facebook

「安保法制」はおかしいです。(9)

2015年8月31日11:56AM

ながしま かずみ・1994年生まれ、20歳。武蔵野大学文学部3年。2014年、U-20デモ実行委員会としてデモ・勉強会を行なった。

ながしま かずみ・1994年生まれ、20歳。武蔵野大学文学部3年。2014年、U-20デモ実行委員会としてデモ・勉強会を行なった。

「うちは一家全員が助かったけれど、周りは空襲で家族の誰かが亡くなっていたから、申し訳なくて」

2014年8月15日。私は、東京大空襲・戦災資料センターにいた。この日は、「終戦の日」ということで、戦争体験者の話を聞く会が開かれていた。冒頭の言葉は、その会の中で赤沢寿美子さんが口にした言葉だ。その日から1年近く経つけれど、私は今も、この言葉が頭から離れない。

本当ならば、生き残ったことも、いま生きていることも、喜んで良いことであるはずだ。しかし、素直に喜べない。それとも、?生きていることを喜ぶ”という感覚すらも、わからなくなっているのか。周りの人間にも、「自分の子(親・恋人)は死んだのに、なぜあの人は……」という目で見られることがある。それは、映画『父と暮せば』、漫画『夕凪の街・桜の国』などでも描かれていた。生きるという自然なことが、不自然に感じてしまう。それが戦争なのだと、あらためて強く思った。

今、安倍政権は「安全保障関連法案」という名の?戦争をするための法案”を成立させようとしている。自衛隊が戦地に行くことができるようになり、今まで以上に隊員が危険にさらされる。後方支援は、国際的には戦争に加担していると受け取られ、攻撃の対象となる。私は、間接的であっても誰も殺したくないし、大切な人が傷ついたり、誰かを傷つけたりすることは耐えられない。戦地に行くことや、人を殺すことが名誉であるとされ、大切な人の死を悲しんだり、無事を喜んだりすることができなかったあの頃には、戻ってはならないと思う。

だから私は、声を上げる。

(長島可純、8月21日号)

●この記事をシェアする

  • facebook
  • twitter
  • Hatena
  • google+
  • Line

電子版をアプリで読む

  • Download on the App Store
  • Google Playで手に入れよう

金曜日ちゃんねる

おすすめ書籍

書影

黒沼ユリ子の「おんじゅく日記」

ヴァイオリンの家から

黒沼ユリ子

発売日:2022/12/06

定価:1000円+税

書影

エシカルに暮らすための12条 地球市民として生きる知恵

古沢広祐(ふるさわ・こうゆう)

発売日:2019/07/29

上へ