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ろくでなし子さん勾留、北原みのりさん「釈放」――「嫌がらせ」「見せしめ」逮捕か

2014年12月22日7:12PM

二人を逮捕した東京・小岩署。ろくでなし子さんへの取り調べは続いている。(撮影/本誌取材班)

二人を逮捕した東京・小岩署。ろくでなし子さんへの取り調べは続いている。(撮影/本誌取材班)

“嫌がらせ”逮捕ではないか――。

本誌の連載執筆者の作家・北原みのりさんと芸術家のろくでなし子さんが12月3日、わいせつ物公然陳列の疑いで逮捕された。加えてろくでなし子さんは今年7月の逮捕時と同様、わいせつ電磁的記録記録媒体頒布容疑にも問われている。内容は、(1)今年7月に逮捕されたときと同様、昨年10月に自らの女性器の3DプリンターをダウンロードできるURLデータを送信したこと、(2)自らの女性器の3Dプリンター用データが入っているCD-Rを個展にきた希望者に配布したこと――の2点だ。

前回の逮捕時、ろくでなし子さんは勾留中、100件に1件程度の割合と言われる準抗告が認められた。なぜ同じような内容で再度身柄を拘束されなければいけないのか。北原さんも証拠隠滅や逃亡の恐れなど、逮捕の要件に当てはまるとは考えにくい。『東京新聞』も12月5日付の記事で、二人の逮捕自体への疑問を提示。本誌同様、アジア女性資料センターやふぇみん婦人民主クラブが抗議声明を出すなど、「不当逮捕」への批判が高まっていた。

そんな中、6日に北原さんは釈放された。検察官の「勾留請求」が裁判官に却下されたことで、検察が準抗告を行なったが、東京地裁に棄却されたことによる。

一方、ろくでなし子さんは同日、弁護人以外とは接見できない「接見禁止」つきの勾留が決定。ろくでなし子さんの弁護団は東京地方裁判所に釈放を求める準抗告を申し立てたが、8日に棄却された。ただ、その際、接見禁止の決定は取り消された。弁護団の須見健矢弁護士は本誌の取材に対し、「今回の逮捕はデータだけではなく作品までわいせつと決めつけたもの。逮捕は恣意的で不当な蒸し返しと言うしかない。勾留は絶対に許されない」と語った。今後、弁護団は最高裁判所に特別抗告を求める方針だ。

なお、ろくでなし子さんの「即時釈放」を求める署名活動が、インターネット上の「change.org」で行なわれており、9600筆を超える賛同者が集まっている。(記事は12月9日18時執筆)

(本誌取材班、12月12日号)

【ろくでなし子さん、北原みのりさん逮捕への抗議声明文】

本件に対して小誌は12月3日、平井康嗣・編集長名で以下の抗議文を発表した。

本日12月3日、ろくでなし子さんが警視庁小岩署にわいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪容疑で再逮捕されました。7月12日に続く逮捕です。

ろくでなし子さんは、自身の女性器を主題にした作品の発表をつづけてきました。

ろくでなし子さんの一連の作品は、女性の性を商品化する「わいせつ」物を氾濫させている男性的な社会に対して疑義を唱える表現活動です。いまだに一連の作品を刑法違反の猥褻物とらえる警視庁の不勉強さにはあらためて残念な思いを抱きます。

また、今回の再逮捕のきっかけの一つとして、『週刊金曜日』における、ろくでなし子さんの連載漫画が考えられます。

この漫画では小岩署での勾留体験がつまびらかに描かれています。その中で、警視庁小岩署の不当な取り調べや、そもそもの容疑理由の不明朗さも明らかにされてきています。

警察や司法当局が自らの不都合な事実を隠ぺいするために、または報復的に、ろくでなし子さんの逮捕に及んだとすれば、これは自由な表現活動に対する重大な侵害と暴力行使でしかありません。

さらに今回は、北原みのりさんも同日、わいせつ物公然陳列容疑で警視庁に逮捕されました。北原さんも『週刊金曜日』に連載を持つ作家です。

北原さんも性を女性が取り戻すために活動を続けてきた代表的な人物の一人です。

ともかく不当な理由で国民の平穏な生活を侵害することはやめてほしい。一刻も早く2人が釈放されること、そして強硬な捜査を取りやめることを強く、強く求めます。

抗議の意思表示として、ろくでなし子さんが「わいせつ」と表現について考える対談を12月12日号に掲載します。

2014年12月3日

平井康嗣・『週刊金曜日』編集長

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